漢方薬の飲み方としては、生薬のまま粉砕して用いる一部の処方は別として、原則として煎じて用いるのが一般的です。
しかし、時代のニーズに答えて、服用しやすいように顆粒状にしたエキス散が登場しました。
煎じるものと顆粒、錠剤の違い
エキス散は生薬を煎じて、その煎じ液の水分を蒸発させて除き、濃縮して乾燥し、それを賦形剤といって乳糖のような粉末に混ぜたものです。
したがって、揮発性成分やその他の成分の違いも多少出てきます。
各メーカーではできるだけ煎じた場合と同じくらいの成分構成に近づけようと努力していますが、煎じたものよりも成分内容は無論のこと濃度も多少薄くなることは避けられず、効果も少し違ってくるようです。
煎じた場合よりも、メーカーにより異なりますが、三分の一~六分の一程度になります。
漢方薬は副作用というよりも、体質や症状に合わない処方を投与した場合に誤治反応が出ますが、煎じ薬では濃度が濃くなるだけに効き目も強くなり、それだけ誤治反応も強く出ます。
しかし、エキス散の場合には作用も緩和となるのでそれほど強い誤治反応は出ませんそのため安易に使われる傾向も出てくるわけです。
よくマスコミで漢方薬を用いたら余計に症状が悪化したと報道されることがありますが、古典に記された漢方薬の用い方に従わず、現代医学的立場から用いた場合によく誤治反応が出ることがあります。
漢方薬はなぜ高いのでしょうか?
漢方薬で用いられる生薬(生のままの、自然のままの薬物)は西洋医学で用いられている薬のように合成化学品とは違うので、大量生産ができません。
自然によって作られるものなので生産に限りがあり、相場が変動しやすく需給関係から高くなる場合が多いのです。
とくに最近では健康保険が適用されてからは、副作用もないということから新薬に代わって大量に投与されるようになったため、生薬の供給が滞るようになり高値になってきているものもあります。
その結果、質の低下もともなうようになってきました。
漢方薬には即効性がないというが本当だろうか
よく西洋医学の新薬は即効性があるが、漢方薬は効果が遅いといわれますが、それはあまり当を得ていません。
漢方薬は西洋医学とは作用する面が異なることもありますが、その人の病状によっては即効性があります。
一般に急性症に対しては効き目は早く出ます。
しかし、慢性症に対してはゆっくりと効き目を示します。
急性症といえば代表的なのがカゼひきです。
一般にカゼをひいたというと、寒いからカゼをひくと考えがちですが、漢方医学ではそれが寒さによるものか、空気が乾燥したことによるか、湿気か、あるいは精力の消耗によるものか、またカゼがどの程度進んでいるかなど、漢方医学による病理機構を考慮しながら適宜処方を組み立てます。
このように漢方ではどのような性質のカゼであるかによって処方がすべて違ってきます。
現代医学では、このへんは機械的に、大体は、“解熱鎮痛剤”を、あるいは鼻水が出れば血管収縮剤、咳が出れば鎮咳剤、そして胃ぐすりというのが一般的です。
カゼがこじれますと微熱が出ますが、解熱鎮痛剤で取れなければ抗生物質が用いられるのが普通です。
またカゼというと例外なくこれらの薬が処方されるのですが、熱の出ないうちからこれらを服用することには問題があります。