あの人は、なぜあんなに堂々としているのか

不思議に思ったことはありませんか?

「あの人は、なぜあんなに堂々としているんだろう?」「なぜ、逆境でも動じないんだろう?」「どんなトラブルが起きても、冷静でいられるんだろう?」

一方で、本を読み、勉強し、必死にメンタルを鍛えようとしているのに、ちょっとしたトラブルで、すぐに心が折れてしまう自分がいる。そんな経験、ありませんか?

実は、その違いは、あなたの「努力」や「根性」が足りないからではないのかもしれません。

あなたの「家」が、間違った場所に建っているからなんです。

どれだけ立派な柱(=ポジティブ思考)を立てても、その下の「地面(=身体)」が泥のようにぬかるんでいたら、家は建ちませんよね?

中村天風は言いました。「心を変えようとするな。まずは、器(うつわ)を作れ」と。

経営の神様・松下幸之助、稲盛和夫が生涯貫き、そして、あの大谷翔平選手も心の拠り所とした「天風哲学」。その教えの根幹にあり、最も即効性のある奥義。それが、「クンバハカ」です。

一見、神秘的な修行に見えるこの教え。実は最新の科学で見ると、ぬかるんだ地面を一瞬でコンクリートに変える、「脳の緊急停止ボタン」だったのかもしれません。

なぜ「ポジティブ思考」は崩れ去るのか

まず、少し厳しい現実と向き合ってみましょう。

私たちは辛いことがあると、頭で考えようとします。「前向きに考えなきゃ」「気にしちゃダメだ」と。

でも、これって効果がありましたか?

実は、これは建築で言えば、「底なし沼の上に、無理やり豪邸を建てようとしている」のと同じかもしれません。これを「砂上の楼閣(さじょうのろうかく)」と言います。

脳の中で何が起きているのか

不安やプレッシャーを感じている時、あなたの脳内では「扁桃体(へんとうたい)」というアラームが鳴り響いているといいます。これは「逃げろ!戦え!」という、動物としての生存本能です。

この本能の暴走を、「言葉(理性)」で抑え込もうとするのは、「暴れ狂う野生の馬を、理屈で説得しようとする」ようなものかもしれません。不可能ですよね。蹴飛ばされて終わりです。

だから、思考のアプローチは一度手放してみませんか?暴れ馬を止めるには、言葉ではなく、手綱をグッと引くという「物理的なアクション」が必要なんです。

心の話をする前に、まずは「体」の話をしなければならないのかもしれません。

100年の秘儀「天風式クンバハカ」とは

そこで登場するのが、中村天風がヒマラヤの修行で掴み、独自に体系化した「クンバハカ」です。

もともとはヨガの呼吸法をルーツに持ちますが、天風先生はこれを、現代人が日常で使える「姿勢の技術」へと進化させました。

やることは極めてシンプル。重要なのは「3つの部位」を同時に操作することです:

  1. 肛門を締める
  2. 肩の力を抜く
  3. お腹(丹田)に力を落とす

これだけです。

「え、お尻を締めるだけで?」と思いましたか?でも、ここからが面白いところなんです。

天風先生はこれを「心身統一の秘訣」と説きましたが、現代の神経科学で解析すると、この3つの動作は「脳のパニックを強制停止させる緊急停止ボタン」そのものだったのかもしれません。

武道の視点から見ると

これは単なる「おまじない」でも、怪しい儀式でもありません。武道の視点で見れば、これは極めて合理的な「戦闘態勢」の作り方なんです。

武道には「残心(ざんしん)」や「居着かない」という言葉があります。完全にリラックスしてダラッとしているわけでもない。かといって、緊張でガチガチに固まっているわけでもない。

言わば「静かに高ぶっている状態」。この「相反する2つの状態(緊張と弛緩)」を同時に成立させる身体操作こそが、クンバハカの正体なのかもしれません。

体感してみませんか?感情は「姿勢」で作られる

「本当にそんなことで心が変わるの?」そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

では、10秒間のミニ実験をしてみましょう。楽な姿勢で読んでください。

スマホによるストレス状態(左)と、呼吸と意識を整え心身が調和した状態(右)を対比したイラスト。
 

実験その①:不安モード

少し猫背になって、目線を下に落としてください。その状態で10秒間、「未来の最悪の不安」を想像してみてください。仕事の失敗、老後、人間関係……。

どうでしょうか?胸のあたりが詰まったり、呼吸が浅くなったりしませんでしたか?嫌な気分がリアルに感じられたのではないでしょうか。

実験その②:簡易クンバハカ

では次に、姿勢を変えます。足の裏を床につけ、お尻の穴をキュッと締める。そして背筋を伸ばして、少し上を向いてください。

この「クンバハカ状態」で、もう一度、さっきと同じ「未来の最悪の不安」を想像してみてください。

……どうですか?

「あれ、さっきほど嫌な感じがしない」「客観的に考えられる」そう感じませんでしたか?

驚くべき事実

あなたは「同じ不安」を考えていたはずです。なのに、「身体の状態」が変わっただけで、「感情の質」が勝手に変わってしまった。

これこそが、天風哲学の真髄なのかもしれません。

神経科学で読み解く「脳の誤作動」

では、今あなたの脳の中で何が起きていたのでしょうか。最新の神経科学で考えてみましょう。

不安モードの脳

猫背で不安を感じていた時、脳の警報装置である「扁桃体(へんとうたい)」が暴走していたのかもしれません。「危険だ!逃げろ!」と叫び続け、理性を司る「前頭前野」が機能停止していた状態です。

クンバハカモードの脳

しかし、お尻を締め、重心を落とした瞬間。身体の下から脳へと、ある強力な信号が送られたといいます。

「足元よし。丹田よし。防御態勢完了。いつでも戦えるぞ」と。

この身体からの信号を受け取った脳は、こう判断するのかもしれません。「なんだ、もう戦闘準備はできているのか。なら、パニックになる必要はないな」

すると、扁桃体の暴走がピタッと止まり、冷静な判断力が戻ってくる。これが「フィードバック制御」と呼ばれる脳の仕組みです。

つまりクンバハカとは、精神統一というよりも、「脳に送る身体からの通知設定」を書き換える技術なのかもしれませんね。

家づくりで考える「土台」の大切さ

もう少し分かりやすく、「家づくり」で想像してみましょう。

どんなに立派な柱や屋根(=知識・ポジティブ思考)を用意しても、それを支える「地面(=身体)」がぬかるんでいたら、家はどうなりますか?ちょっとした地震で、倒れてしまいますよね。

中村天風は、この「地面」や「土台」のことを「器(うつわ)」と呼び、何よりも大切にしました。「器」が小さければ、どんなに良い運命が入ってきても、溢れてしまうからです。

現代の言葉で言うと「OS」

これを、現代の言葉に翻訳すると、「OS(オペレーティング・システム)」になります。スマホで言えば、アプリを動かすための「本体」そのものです。

最新の脳科学でも、まったく同じことが言われています。「脳は、現実そのものではなく、”身体の状態”を通して世界を見ている」と。

つまり、「器(身体)」が安定していれば、脳は「安心だ」と予測し、「器(身体)」がグラついていれば、脳は「危険だ」と予測する。

私たちがやろうとしているクンバハカは、上の建物(考え方)をいじることではありません。建物を支える「土台」を、コンクリートのように固める作業なのかもしれません。

同じ出来事でも、「土台」が安定するだけで、『これはチャンスだ』と揺らがずに受け止められる。これが、天風先生の言いたかったことの「科学的な正体」なのかもしれませんね。

日常に潜む「脳の悪習慣」

この仕組みを知ると、日常の危険性にも気づくのではないでしょうか。

例えば、猫背でスマホを見ながら、不安なニュースを読む。これは「ゆるんだ土台」+「不安情報」という、扁桃体を暴走させる最悪のコンボかもしれません。

逆に、嫌なメールを見る前、ニュースを見る前に、一瞬クンバハカを入れて、土台をセットアップする。そうすれば、情報そのものではなく、その情報を受け取るときの”器の状態”が変わり、あなたの運命を変えていくのかもしれません。

覚えておいてください。クンバハカは、筋肉を鍛える筋トレではありません。「クンバハカは、神経トレです」

脳に「もう大丈夫だ」と伝えるための、武道家のボディランゲージ。自己啓発の言葉を届ける前に、“言葉を受け取る脳の状態”を、まずは整えてみませんか。

実践!土台を作る4ステップ

それでは、いよいよその「土台」を実際にどうセットするのか。具体的な4つのステップを、一緒にやっていきましょう。

今は完璧にできなくても大丈夫です。「感覚」を掴むつもりでやってみてください。

STEP 1:足幅と重心(アースをつなぐ)

まずは足を肩幅に開きます。ポイントは、足の裏全体で地面を「掴む」感覚です。

重心はカカトではなく、少しだけ「土踏まず」の前あたり。電気製品のアース線のように、あなたの体の余分な電気を、地面に逃がすイメージを持ってみてください。

STEP 2:骨盤・丹田のロック(スイッチON)

ここがクンバハカの核心です。

肛門を「キュッ」と締めてください。トイレを我慢する感覚に近いです。そして、その締めた力を、おへその下(丹田)にグッと落とし込みます。

お腹の中に、重たい「鉄球」がストンと落ちて、骨盤におさまったような感覚。これで、スイッチが入りました。

STEP 3:背骨のベクトル(天と地)

お尻は締めつつ、背骨は天井から糸で吊るされているように、スッと上に伸ばします。

下半身は地面へ深く、上半身は空へ高く。体が上下に引っ張り合うような「張り」を作ります。これが、神経の通り道を真っ直ぐにするのかもしれません。

STEP 4:目線と表情(リセット)

最後に、肩の力をストーンと抜きます。奥歯の噛み締めも解いて、唇を少し緩めましょう。

そして、目は一点を睨みつけるのではなく、遠くの山を眺めるように「ぼんやり」と全体を見ます。

……いかがですか?

お腹の底には力が満ちているのに、頭の中は静かな湖のようになっていませんか?これが「クンバハカ」の状態です。

よくある間違いと、日常への応用

注意点

よくある失敗は、力を入れすぎて「呼吸が止まる」ことです。

クンバハカは、息を止めることではありません。お尻は締めても、呼吸は静かに、長く、吐き続けてください。これ、とても大切なポイントです。

日常での活用

これを、部屋の中だけで終わらせてはいけません。

  • 大事なプレゼンの直前
  • 苦手な人からの着信に出る前
  • スマホを見る前の「たった3秒」

お尻を締めて、肩を落とす。この「3秒の儀式」を挟むだけで、外部からのストレス情報を、脳が冷静に処理できるようになるかもしれません。

完璧を目指さなくていい

「難しそう…」「うまくできるかな…」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。

大丈夫です。最初はぎこちなくても、感覚が掴めなくても、それで普通です。

大切なのは、「完璧にやろう」とすることではなく、「意識してみよう」とすることかもしれません。

一日のうちで、ふと思い出した時に、お尻を締めてみる。それだけでいいんです。毎回完璧である必要はありません。

「あ、今猫背になってた」と気づけたこと。それ自体が、大きな一歩なんです。

まとめ:なぜ自己啓発だけでは変われなかったのか

今日お伝えした内容を、もう一度振り返ってみましょう。

なぜ、知識を詰め込んでも自分が変わらなかったのか。それは、情報を受け取る「器(うつわ)」である身体が、乱れたままだったからかもしれません。

今日お伝えした「クンバハカ」は、乱れた器を一瞬で安定させる「強制再起動スイッチ」です。

何かあったら、まずお尻を締める。肩を落とす。言葉を変える前に、姿勢を変える。

この「身体感覚」こそが、大谷選手や松下幸之助氏を支えた秘密だったのかもしれません。

大切なのは「器」を作ること

  • どれだけ良い知識も、受け取る器がなければ溢れてしまう
  • 土台(身体)が安定すれば、脳は「安心だ」と判断する
  • クンバハカは、脳に「大丈夫」と伝える身体のボディランゲージ
  • 3秒あれば、いつでもどこでも実践できる

動画でもっと深く学びませんか

この記事の内容を、さらに詳しく、わかりやすくお伝えしている動画も公開しています。実際の姿勢の作り方や、呼吸のリズムなど、動画ならではの学びがあるかもしれません。

通勤中や家事の合間など、音声で聞きながら実践するのもおすすめです。

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ぜひチャンネル登録もしていただけると嬉しいです。あなたの人生がより良い方向へ進んでいくよう、これからも一緒に学んでいきましょう。

小さな一歩から

今日という日が、あなたの新しい「土台」を作る、記念すべき第一歩になりますように。

完璧を目指さなくていい。まずは、気づいた時にお尻を締めてみる。それだけで十分です。

一緒に、ゆっくりと歩んでいきましょう。


※ 免責事項
本記事は健康情報や身体操作を含みますが、効果には個人差があります。無理のない範囲で実践してください。持病をお持ちの方は医師にご相談の上で行ってください。