腸内細菌は神経系統やホルモン系とも密接な関係があります。
また神経系統は免疫系統とも関与しています。
腸内細菌の働きは生命活動に関係している
したがって、腸内細菌、免疫系、ホルモン系、神経系統は、たがいに影響しあって、恒常性を保ち、健康状態をつかさとっているのです。
たとえば、不規則で悪い食生活をしていれば腸内環境が悪くなり、腸内細菌のバランスが乱れてくると、神経系統に影響がみられます。
まず頭痛、腹痛、不眠、肩こり、生理不順、疲れやすいといった自律神経失調症の症状があらわれてくるわけです。
自律神経というのは、自分の意志とは無関係に、血管、心臓、胃腸、肝臓、膀胱、内分泌線、汗腺、唾液腺などを支配し、体の機能を自動的に調整する神経です。
自律神経は免疫系統と関わっている
胃腸も自律神経支配の臓器ですから、食事の乱れから腸内が不調をきたせば、神経系統にも影響をおよぼすのです。
神経系統と免疫系統はどのように関与しているのでしょうか。
安保徹教授の『免疫革命』(講談社インターナショナル刊)を参考にして考えてみましょう。
自律神経には、交感神経と副交感神経があって、交感神経は体の興奮をつかさどり、副交感神経は体をリラックスさせる働きがあります。
この交感神経と副交感神経のシステムが、免疫系統と関わっているのです。
自律神経は白血球を支配しており、ストレスを受けると、交感神経が緊張して穎粒球が増えるといわれています。
逆にリラックスすると、副交感神経の働きでリンパ球が増えるといわれています。
穎粒球は細菌やウイルスなどの異物を攻撃してくれるものですが、強いストレスを受けて穎粒球が増えすぎると、細菌やウイルスを排除するだけでなく、その周囲の正常な組織も攻撃してしまいます。
それによって胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性の病気を発症しやすくなります。
ですから、交感神経が興奮して、穎粒球が増えすぎるということは良いことではないわけです。
こうした免疫系統のシステムは、もちろん腸内細菌にも影響してきます。
健康と長寿のためにはストレスをためないこと!
ストレスを受けると、腸内は有害菌が増加するということが報告されています。
つまり何らかのストレスを受けた場合、交感神経が優位になり、穎粒球が増えて、腸内も有害菌が優位になるわけです。
腸内細菌、免疫系統の穎粒球とリンパ球、神経系統の交感神経と副交感神経は、すべてリンクしています。
したがって、健康と長寿のためには、できるだけストレスをためずに副交感神経、リンパ球、有用菌をそれぞれ優位にしておくことが重要です。
副交感神経とリンパ球と有用菌を優位にする方法は、正しい食生活、良い水の摂取、正しい排泄、適当な運動や深呼吸、休養、睡眠、精神的充実感、幸福感が基本になります。
精神的な充実をはかるとともに、良い食習慣によって、腸内環境をつねによく整えることが健康維持の鍵になるのです。