病気とはいえないものの、体に痛みやこりが起こり、慢性的にそれらの症状に悩まされている人がおおぜいいるのではないでしょうか。
そうした慢性症状の中でも、最も多くの人が悩まされているのが肩こりでしょう。
会社で一日じゅうパソコンに向かって仕事をしている人はもちろん、家で家事をしている人の中にも、頑固な肩こりに悩まされている人が少なくありません。
そこで、そんな頑固な肩こりが、簡単に解消できるツボ刺激を紹介しましょう。
ツボ刺激というのは、何千年にも及ぶ東洋医学を基にしたもので、具体的には、肩のほぼ真ん中にある「肩井」というツボを押すもの。
なぜ肩井を押すことで頑固な肩こりを簡単に治すことができるのでしょうか。
そのしくみを説明しましょう。
ツボは生命エネルギーの通り道
東洋医学では、私たち人間の体全体に、「気」と呼ばれる一種の生命エネルギーが巡っていると考えられています。
気の通り道は、「経絡」と呼ばれていて、そこには無数のツボがあります。
ツボを押せば、気の流れがスムーズになって生命エネルギーが高まり、そのツボに関係する体の部位の働きが活発になるのです。
こうした東洋医学の考え方は、現代医学でも実証されはじめています。
例えば、ツボを押すと、そのツボに関係した部分の血流がよくなることもわかっているのです。
そうした働きを考えると、ツボを押すことで、肩こりが治ることも納得いただけるのではないでしょうか。
肩こりを招く重大な原因の一つには、血流の低下によって、肩に新鮮な酸素や栄養が十分に送り届けられず、逆に老廃物が肩内部でたまることが挙げられます。
肩井を押すことで、肩やその周辺の血流がよくなれば、酸素や栄養が届けられたり、老廃物や疲労物質が排泄されたりします。
そのため、肩こりが治るのも当然のことといえるでしょう。
肩井を押すには4本の指でツボを押す
まず、肩井の位置から説明しましょう。
肩をすくめたときに、左右両肩の真ん中に太い筋肉が現れます。
この筋肉を僧帽筋といいます。
肩井は、僧帽筋のほぼ中央、首のつけ根と肩先を二分するところにあります。
一般にツボ押しには最も力が入りやすい親指を使います。
肩井を押すときも、人にやってもらう場合には、親指で押してもらえばいいでしよう。
しかし、自分で肩井を押す場合には、親指では押しづらいはずです。
そこで親指を除いた4本の指を使って押します。
①4本の指をその手と反対側の肩の肩井に置く。
②息を吐きながら3~5秒間強く押す。このときに、中指の指先が肩井に当たるようにする。
③指の力を抜いて呼吸を整えたあと、再び指に力を加える。
②と③を5~10回くり返します。
ちなみに肩井を押すときは、肩こり以外にめまいや五十肩などの改善にも効果を発揮します。
その場で筋肉がほぐれる
さらに、肩井のツボ押しの効果をさらに高める方法として、ぜひともおすすめしたいのが、両足の側面にある「陽陵泉」のツボ押し。
陽陵泉には、押せばすぐさま、全身の筋肉の硬直を解きほぐす働きがあります。
そのため、陽陵泉を押して、体がほぐれたところで肩井を押せば、相乗効果によって、肩こりもより簡単に解消されるというわけです。
陽陵泉は、ひざの外側(小指側)に出っ張った骨のすぐ下にあります。
触ってみると心地いい痛みがあるので、すぐにわかるでしょう。
陽陵泉を押すやり方
①親指を、その手と同じ側の足の陽陵泉に当てる。
②息を吐きながら3~5秒間強く押す。
③指の力を抜いて呼吸を整えたあと、再び指に力を加える。
②卜③を5~10回くり返します。
肩こりに悩まされている人は、肩井と陽陵泉のツボ押しを試していただきたいと思います。