肩こり解消と自己診断

肩こり解消法!肩甲骨を大きく動かす「平泳ぎ肩回し」

肩こりは万病の元凶で放置すれば重大な病気を引き起こす可能性大

意外に思われるかもしれませんが、肩は免疫力(体を病気から守る力)を左右する急所。

なぜなら、肩のまわりには免疫力を担うリンパの拠点が集中しているからです。

私たちの全身には血管に寄り添うようにしてリンパ管が通り、その中にはリンパ液が流れています。

リンパ液は、リンパ管を通りながら、体内の各所にあるリンパ節(リンパ腺)にたどり着きます。

リンパ節は、リンパ液が運んできた老廃物を受け取り、リンパ液をきれいに濾過する働きをしています。

実は、このリンパ節が集中しているのが、首から胸にかけての肩の周囲なのです。

肩こりがある人は、肩の周囲の筋肉が硬直しているため、血流やリンパ液の流れが滞っています。

そのため、細菌やウイルスから身を守る力が衰え、免疫力が低下してしまう可能性があるのです。

寒い季節には、カゼや肺炎・結核などの感染症にかかる危険が高まりますが、免疫力の低下は感染症を招く大きな原因になります。

肩こりを放置すると免疫力が低下し、さらには自律神経(意志とは無関係に内臓や血管の働きを支配している神経)のバランスもくずれてきます。

自律神経には、主に活動中に働く交感神経と、休息中に働く副交感神経があり、それぞれがうまくバランスを取りながら働いています。

肩こりによって、肩周辺の筋肉が緊張状態に置かれると、自律神経のうち、交感神経が過剰に働くようになります。

そうなると、血管が収縮して、高血圧になります。

副交感神経に比べて交感神経が過剰に働くと、免疫力を担う白血球にも異常が及び、アトピー性皮膚炎・慢性関節リウマチ・花粉症というように、さまざまなアレルギー病が発生する原因になります。

万病を防ぐためにも、肩こりを防ぐ対策を講じるべきでしょう。

肩甲骨を動かすには「平泳ぎ肩回し」7割の人の肩こりが解消

肩こりを根治する秘訣は、肩の筋肉の硬直をほぐすこと。

その方法として、おすすめなのが、肩甲骨を大きく動かす「平泳ぎ肩回し」です。kenkoukotu2

平泳ぎ肩回しは、水泳の平泳ぎをするときの腕の動きとよく似ています。

平泳ぎを簡単に説明すると、水中に浮いた状態で、伸ばした両腕を真横に広げながら水をかき、胸元に持ってくるという動作をくり返します。

平泳ぎ肩回しは、こうした平泳ぎの腕の動きをまねて直立した姿勢で行います。

そもそも、肩こりの解消に水泳が効果を発揮することは以前から知られていました。

実際に、肩こりと水泳の関係を調べた調査では、水泳を続けている約7割の人が、肩こりの解消に効果があった、と回答しているそうです。

そして、泳ぐさいに肩甲骨を大きく動かすと、肩こりの解消に役立つと答えた人が多かったといいます。

平泳ぎ肩回しも、肩甲骨を大きく動かすのがポイント。

肩甲骨は、前の記事でも述べたように両肩の下にある大きな骨で、この骨をあまり動かさない生活、すなわち腕をあまり使わない生活を送っていると、肩周辺の筋肉が硬直して血流が悪くなり、肩こりを招く原因になります。

つまり、平泳ぎ肩回しを行って肩甲骨を大きく動かせば、一般的な肩こりなら、重症でも治せるのです。

平泳ぎ肩回しのやり方~肩甲骨の動きを意識しよう!

  1. 背すじを伸ばして胸の前で両手を合わせ、背中にある左右の肩甲骨の間をなるべく広げるようにしながら腕を徐々に頭上へと上げていく。腕を上げるにつれて、肩甲骨もできるだけ高く上げる。
  2. 腕を上げて、ひじがまっすぐ伸びたら、今度は、両手の手のひらを外側にむける。そのまま、平泳ぎで水をかく要領で、両腕を徐々に下ろしながら、左右の肩甲骨どうしを近づけていく。胸を張ると左右の肩甲骨を近づけやすくなる。
  3. 両手が肩の高さより少し下にきたら、わきを締めて両手をヘソのあたりで合わせる。そのとき、左右の肩甲骨は、できるだけ下に下げる。

①~③を3回行うのを1セットとし、1日2~3セット行う

平泳ぎ肩回しを行うさいのポイントを述べましょう。

平泳ぎ肩回しをするときは、胸をしっかりと張り、背すじをピンと伸ばして行います。

この姿勢を習慣づけることでふだんの姿勢がよくなることも、肩こりの解消に役立ちます。

まず両手の手のひらを胸の前で合わせるときは、左右の肩甲骨の間をできるだけ広げること。

両腕のひじどうしを、くっつけるようなイメージを持つといいでしょう。

次に、両腕を左右に広げるときは、胸を大きく張り、左右の肩甲骨どうしをグッと近づけます。

さらに、上げた腕を下ろして胸の前で両手を合わせるときは、急がずに両腕をゆっくりと動かしてください。

体操を行うさいに肝心なことは、肩甲骨の動きを常に意識することです。

行う時間帯に決まりはありませんが、朝起きたときやテレビを見ているとき、風呂上がりなど時間が空いたときに行うといいでしょう。

特に朝起きたときや夜は、肩の筋肉が疲労してこわばっているので、肩甲骨を大きく動かす平泳ぎ肩回しをすれば肩がほぐれ、効果的です。

また、パソコン作業や事務仕事の最中など、肩がこりやすいときにも、ぜひ平泳ぎ肩回しをしてみてください。