慢性的な肩こりに悩む人は、数え切れないほどおおぜいいます。
しかし、首・肩や背中のあちこちが、何の脈絡もなしにこったり痛んだりして、その症状が日増しにひどくなってきた場合は、ガンの疑いが濃厚です。
ガンからくる肩こりは、こりや痛みの起こる場所が頻繁に変わり、その痛みがだんだん激しくなっていくのが特徴です。
例えば、首が痛んだかと思えば背中が痛くなる、右肩がこっていたのに翌日は左肩が痛むといったぐあいに、こりや痛みを感じる部分が移動するのです。
そして、今日より明日、明日よりも明後日というふうに、痛みの程度が徐々に強くなっていきます。
では、なぜこのような症状が起こってくるのでしょうか。
体内にガン細胞が発生すると、血管やリンパ管を通じて、体のさまざまな器官に転移します。
特に、脊柱(背骨)などの骨にガン細胞が転移すると、その内側にある脊髄(背骨の中を通っている神経束)で腫瘍を作って、増殖をくり返します。
その増殖が激しくなるにつれて、骨の組織が徐々に破壊されていき、首・肩や背中のこりや痛みとなって現れるのです。
肩にこりや痛みを生じ痛む場所も変われば肺ガン・乳ガンを疑え!
肩にこりや痛みを生じやすいガンの種類、つまり背骨に転移しやすいガンとしては、女性の乳ガンや子宮ガン、男性の前立腺ガン、それに肺ガンや腎臓ガンなどが挙げられます。
中でも、乳ガンと肺ガンは、それぞれの器官が肩に近いこともあって、比較的早いうちから肩にこりや痛みが現れます。
特に、肩のこりや痛みが現れやすいのは、肺尖部(肺の先端のとがった部分)にガンができた場合です。
肺尖部は、鎖骨ぐらいの高さにあって、目とつながっている星状神経節と隣り合っています。
星状神経節とは、自律神経(意志とは無関係に内臓や血管の働きを支配する神経)が集まっている部分です。
そのため、肺尖部にガンができると、目にも異常が現れます。
例えば、まぶたが垂れ下がる、目が落ちくぼむ、瞳孔が拡大するといった症状が現れ、同時に両腕にしびれが現れることもあります。
肩こりの変化に注意
また、ガンはリンパ液を通じてリンパ腺に転移することも少なくありません。
リンパ腺は、もともと極めて軟らかい組織ですが、ガンが転移するとゴツゴツした硬い組織に変わっていきます。
そこで、肩のこり方に異常を感じたならば、耳の下やわきの下にあるリンパ腺も調べてみてください。
指でさわって腫れや硬さを感じた場合は、ガンの可能性が高いと考えられます。
ガンは、手遅れになれば命取りになる病気の筆頭です。
しかし、早期に発見すれば、決して怖い病気ではありません。
肩こりの変化に注意を払い、ガン発見に役立ててほしいと思います。