肩こりは、女性に多い症状です。
女性の体は、男性よりも細くて筋力も劣るうえに乳房があります。
肩の筋力も男性に比べて弱いのに、頭や腕、乳房の重みまで支えなければなりません。
そのため、女性のほうが肩こりを起こしやすいのです。
しかし、生理が終わったあとも両肩のこりが1週間以上タラタラと続くようなら、婦人病を疑ったほうがいいかもしれません。
痛みを起こす物質が長い間分泌される
女性は、毎月の生理のときに、子宮の内側を覆う子宮内膜という組織で、プロスタグランジンという物質がたくさん分泌されます。
プロスタグランジンは、炎症や痛みを起こす物質で、筋肉を収縮させる強い働きをします。
生理期間中プロスタグランジンの量が多くなると、子宮の筋肉にけいれん性の収縮が起こります。
そうして、不要になった子宮内膜が、体の外に排出されるのです。
一方では、たくさん分泌されたプロスタグランジンの影響で、体のいろいろなところで血管が収縮したり、筋肉が緊張したりします。
そのために生理期間中は、下腹部痛や肩こり、頭痛、腰痛など、いわゆる生理痛が引き起こされるのです。
生理に伴う肩こりは、左右両方の肩に現れるのが特徴です。
女性特有の病気が原因の肩こりもある
通常、下腹部痛や肩こりなどの生理痛が最もつらいのは、生理が始まって2~3日の間です。
それ以後は徐々に軽くなっていき、生理が終われば消失します。
しかし、両肩のこりが1週間以上も続く場合は、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人病が進行している可能性があります。
子宮筋腫は、子宮の筋肉に良性の腫瘍(ガン化しないコブ)ができる病気です。
婦人科の腫瘍では最も多い病気で、女性の4~5人に1人は見られます。
閉経すれば筋腫は縮小しますが、生理のある間は出血が長引いたり、出血量が増えたり、頻繁にくる月経過多になったりします。
一方の子宮内膜症は、子宮内膜が本来あるべき場所以外で増殖し、種瘤を作ってしまう病気で、生理のある女性の10人に1人に見つかります。
生理期間中に種瘤が大きくなることと、下腹部痛などの生理痛を伴うことが特徴です。
どちらの病気も、子宮の内側の表面積が増えて子宮内膜の量が多くなるため、プロスタグランジンが通常よりも大量に、そして長期間にわたって分泌されます。
その結果、生理痛が重くなり、肩こりも長引きやすくなるのです。
以上は、主に40代以下の女性が気をつけるべき症状ですが、50代以上の女性で、両肩のこりが長く続く場合は、更年期障害を疑うべきでしょう。
その場合は、両肩のこりと痛みとともに、のぼせやほてり、イライラなどの不快症状も伴います。