私たち人間の肩は、鎖骨、肩甲骨、上腕骨をつなぐ4つの関節(肩鎖関節・肩甲上腕関節・胸鎖関節・肩甲胸部関節)からできています。
これらの関節が連携して働くおかげで、私たちは腕を前後左右に動かすことができるのです。
ところが、同じ姿勢でデスクワークや車の運転を長時間続けたり、スポーツや労働で肩を酷使したり、逆に運動不足だったり、過剰なストレスを感じたりすると、肩の筋肉は緊張して硬くなり、痛みやだるさが現れます。
これが一般的な肩こりです。
悪い姿勢や疲労、運動不足などが原因で起こる一般的な肩こりは、ふつう、ひと仕事すんだ昼過ぎから夕方ごろ、両肩に起こりはじめます。
こうした肩こりは、一晩眠ったり、肩を温めたりマッサージしたりして緊張した肩の筋肉がほぐれれば、たいてい速やかに解消します。
頑固な肩こりには要注意
しかし、肩こりには、なかなか解消されない頑固な肩こりもあります。
そして、頑固な肩こりが続くときは、思いがけない病気が潜んでいる場合もあるので、注意が必要です。
そもそも、首から肩にかけての部分には、脳をはじめ頭部や腕などに血液を送る、太くて重要な血管が集中しています。
しかも、そうした血管は幾度となく枝分かれし、複雑に入り組んでいます。
そのため、なんらかの原因で体のどこかの血流が停滞すれば、ただでさえ異常が現れやすい肩には、まっ先にこりが起こってくるのです。
また、首から肩にかけては、内臓の働きを大きく左右する神経が神経が密集しています。
内臓のどこかに異常が発生すると、その情報が神経を介して脳に伝えられ、異常を知らせる信号が肩こりとして現れることもあります。
朝の肩こりは高血圧のサインで脳梗塞が心配
午後に起こってくる一般的な肩こりと違って、朝から肩が凝り、なかなか解消されない場合は高血圧が疑われます。
自覚症状がないとされる高血圧にも、血圧が上がるときに小さなサインの中で、特に注意をしたいのが朝の肩こりです。
血圧は、早朝から上昇してきます。すると肩や首の血流が悪くなるため、高血圧の人は、朝目覚めてすぐに肩こりが起こることが多いのです。
充分な睡眠や休養を取ったにもかかわらず、起床時に肩こりが解消していない場合は、高血圧の疑いが濃厚です。
しかも、早朝からの肩こりでは、脳に血液を運ぶ頸動脈が強く圧迫されるため、非常に危険です。
首筋を通っている頸動脈が圧迫されて収縮するため、脳の中の血管がけいれんして血流が止まり、その結果、脳梗塞を起こす場合があるからです。
このほか、血圧が高いときには首の動きが悪くなることがあります。
あおむけに寝た状態から、首を曲げて頭だけ上げようとしたときに、首が曲がらず、頭と肩をいっしょに持ち上げてしまうのです。
これは、頸部硬直といって、首から肩にかけてのこりが強すぎるために起こる症状です。
また、血圧が上がると、頭痛や目の充血、トンネルに入ったときのような耳の閉塞感といった症状もよく現れます。
特に頭痛には注意が必要!!
高血圧からくる頭痛は、頭の中がキンキンと強く痛む、後頭部から目のほうに向かってズンズンと響くように痛む、頭皮が突っ張る、頭全体が重たくてすっきりしないなど、人によってさまざまな現れ方をします。
また、夜の寝つきが悪く、一晩に何度も目が覚めて睡眠不足になる場合もあります。
このように、血圧が高くなると、朝の肩こりをはじめとする小さなサインがいくつも現れます。
脳梗塞などの重大な病気を招かないためにも、朝起きてすぐに肩こりを感じたときは、たかが肩こりと軽視せず、血圧が異常に上昇していないかどうかを血圧計で測定するといいでしょう。
もしも血圧の測定値が高かったなら、すぐに内科を受診しましょう。