胃がんは日本人がかかりやすく、死亡率も高い病気です。
禁煙する、塩や高塩分食品のとり過ぎに注意する、野菜、果物が不足しないようにするなどの配慮して、胃に負担をかけない生活を心がけることが大切です。
日本人に胃ガンが多いのは食生活や環境が原因
胃がんは無症状のことも多く、小さな異変を感じたときも、市販薬のみで対処せず、早めに病院で診察を受けることが大切です。
胃ガンの死亡率がここ10年やや低下傾向にあるとはいえ、毎年12~13万人が胃ガンにかかり、そのうち4~5万人が死亡します。
高齢になればなるほど胃ガンの発生率は高くなりますが、たまに20歳代の若い人にも発症することがあります。
胃がんで闘病中だったフリーアナウンサー黒木奈々さんが32歳の若さで亡くなったそうです。
日本人に胃ガンが多いことは世界的に有名です。
遺伝的なものかとも思われていましたが、ハワイに移った日系2世、3世には胃ガンは多くありません。
ということは、日本人の食生活や環境が原因になっているのでしょう。
あなたの身のまわりのもので何か思い当たるものはありませんか。
ピロリ菌は胃ガンの最大原因?!
胃ガンを引き起こす病原体があるのをご存じですか。
その名前を「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。
最近、新聞などでも話題になることがありますので、皆さんも一度ぐらいは耳にしたことがあるでしょう。
胃液のなかに住みついて、胃の粘膜に悪さをし、胃炎や胃ガンを引き起こすのです。
この菌は東南アジアを中心に分布しており、胃ガン発生の多い地域と一致しています。
日本人のヘリコバクターピロリ菌の感染率は、中高年で高く、若年層では近年低下傾向にあります。
ヘリコバクターピロリ菌に感染した人のすべてが胃がんになるわけではありませんが、胃がんになった人はほとんどの人がピロリ菌を持っている、というデータも発表されました。
現在、除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くするという研究結果もあります。
感染していることがわかれば除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが勧められます。
胃ガンの症状、発見、その後
腹部になんらかの異常を感じた場合、必ず胃ガンを念頭におかなければなりません。
みぞおちのことを「心痛部」といいます。
ここに痛みや重苦しい感じがするときは、「胃ガンではないだろうか?」と、いちおうは疑ってください。
実際には、ほとんどが胃炎なのですが、症状が続いたり、病院で薬をもらってもなかなか治らないときは、やはりガンの可能性は高いといえるでしょう。
バリウムを飲む胃の透視検査を「MDL」といいますが、この検査で胃ガンの有無をチェックすることができます。
胃カメラは飲むときはっきりいって非常に苦しいですがかなり細かいところまで観察することが可能です。
胃カメラはピロリ菌の検査も可能ですから、胃がんの初期段階での発見には、この胃カメラは適しているといえます。
胃ガンには、たちの悪いタイプといいタイプがあると思ってください。
たちの悪い夕イプは、芽生えるやいなや、猛烈なスピードで広がっていきます。
逸見政孝さんのケースで有名になったボルマン4型胃ガンというタイプです。
別名でスキルスともいいます。
この場合は芽生えてから1~2ヵ月以内に発見しても、手遅れの可能性が大きいのです。
手術しても、おそらく1年以内に死亡してしまうでしょう。
このタイプのガンに対しては「深い悟り」ともいうべき「あきらめ」が大切です。
じたばたしても、まず助かるものではありません。
早期に発見された胃ガンは救命率が高い
適切な治療を施せば、その後、長年生存できる確率は90パーセント以上あると思ってください。
そこそこ大きく成長したがンでも、他の臓器やリンパ節への転移がなりれば、10人中4人は、その後も長年生存できます。
だから、少しでも早く発見できるように努力するべきでしょう。
バリウムや胃カメラを用いた胃の検査は広く普及し、胃ガンの発見に役立っていますが、胃ガン患者6人中1人は依然として完全に手遅れの状態になるまで放置されているのが現状です。
早期胃ガンが発見されたとき、どれぐらいの早さで進行していくのか予測するのは不可能です。
「のんびりガン」という言葉を最近耳にしますが、最悪の場合を念頭において、治療に取り組むしかありません。
がんを含めて2/3以上の範囲を切り取る定型手術、小さい切除範囲で行う縮小手術、がんが進行して、ほかの臓器に広がっている場合に行われる拡大手術などがあります。
また、手術と組み合わせて、化学療法や免疫療法などを手術成績を上げるために併用する場合もあり、胃を丸ごと切り取るようなことは、ほとんどありませんので安心してください。