肺のなかで芽生えたガンがその後どうなるか、また、すでに手遅れの肺ガンが見つかった患者がその後どうなるかについてお話ししましょう。
芽生えた肺ガンを放置すると、ガン細胞は肺のなかで増殖し、だんだん大きくなります。
大きくなって肺の表面の神経に触れると痛みが出てきます。
胸が痛いと訴えて来院した患者を調べてみると、肺ガンだったということがときどきあります。
また、出血を起こし、口から血を吐くことがあります。
肺から出た血を吐き出すことを喀血といいます。
肺がんの末期は脳に転移も
ガン細胞は芽生えた場所で大きくなるだけではありません。
肺の他の部位や胸の真ん中の奥にあるリンパ節に素早く転移するのです。
脳に転移することもあります。
一方、脳に転移した場合、ある日突然、「しゃべれなくなった」「話のつじつまがあわなくなった」といった形で発症します。
場合によっては、呼吸がとまり死んでしまうこともあります。
あなたは寝ていても起きていても、自然に呼吸をしています。
無意識でも呼吸を行えるように指令を出しているのが、脳のなかでも脳幹部という部位なのです。
この場所に肺ガンが転移すると、突然、呼吸がとまってしまいます。
たいていは、眠っているときに自然に呼吸がとまりますので、苦しんで死ぬよりは幸せかもしれません。
呼吸不全になったときは酸素を投与しますが…
肺のなかでガンが大きくなると、当然、肺の機能が低下してきます。
だんだんと呼吸困難をきたし、やがて完全に呼吸ができなくなるでしょう。
ガンそのものがそれほど大きくなくても、肺炎などを発症しやすくなっています。
肺炎を引き起こすと、すぐに呼吸困難を引き起こします。
呼吸不全になったときは酸素を投与します。
しかし、酸素濃度をいくら濃くしても、呼吸困難が改善されません。
息ができないという悲壮な状況下で患者は死んでいくのです。
肺ガンは芽生えてしまったらもう最後というあきらめをもってください。
その上で起死回生を目指して治療に取り組みましょう。
死亡宣告後のある医師の告白
ガンの末期の患者と医師とは長いつきあいになることが多いのです。
一進一退を繰り返しながら結局は死ぬとはいえ、患者と医師とはなんとなく結ばれていきます。
呼吸停止、心臓停止、瞳孔散大、頸動脈触知せず。「○時○分、お亡くなりになりました」と医師は死亡宣告します。
その後、確かにこの人は死んだと確信できるときと、この人は本当に死んだのだろうかと疑問に思えるときがあります。
死亡宣告後、まだ生きていたときに会話していたこの人の心がどこかに残っていて、またここに戻ってくるのじゃないかという強烈な予感に迫られることがあるのです。
霊というものはもしかすると本当に存在するのかもしれません。