日本における死亡原因のトップがガンということは、テレビや雑誌の保険CMや広告でよく目にするのでご存知の方が多いと思いますが、その中で最も死亡率が高いがんが「肺がん」ということをご存知の方は、意外に少ないようです。
男性の肺ガン死亡率は急激に上昇
日本における男性の肺がんの罹患率、死亡率は急激に上昇しており、ここ10年で約30%も増えています。
肺ガンの治療としては、手術、放射線療法、抗ガン剤投与、あるいは免疫療法などいろいろ試みられています。
しかし、満足のいく成果に乏しく、肺がんの5年生存率は最も早期のステージIでは、5年生存率71.7%ですが、ステージIIでは38.3%と大きく下がり、ステージIVになると4.3%とかなり低くなります。
「肺ガンです」と宣告された瞬間、死を連想するのも肺がんはリンパ節へ転移することが多く、脳や骨髄へも転移しやすいので、治療が難しくなるケースが多いためです。
肺ガンの発見
ところで、ガンというのは「早期発見、早期治療」が大切といわれています。
肺ガンに関していえば、皆さんのほとんどが、毎年、胸のレントゲンを撮っていると思います。
もかかわらず、どうして肺ガンが発見された人のほぼ全員が1~2年以内に死んでしまうのでしょうか。
答は簡単です。
早期発見されるケースが非常に少ないからです。
運よく見つかったとしても、進行肺ガンであることは、まず間違いありません。
それにしても、毎年検査しているのに、なぜでしょうか。
2つの理由が考えられます。
1つは肺ガンは進行が早く、芽生えてからあっという間に転移などを起こしてしまうということ。
もう1つは従来の胸のレントゲンでは、小さな肺ガンだとX線を普通に近い状態で透過することが多く、レントゲンフィルムになかなか明瞭に写っでこないということです。
フィルムに写りにくいものを発見するのは至難の業です。
毎年、胸のレントゲンを撮り続けた結果、早期肺ガンとして発見される確率は、たったの7.3パーセントにすぎません。
よく覚えておいてください。
では、稀ながら早期に発見され、手術を行えたら、どうなるでしょう。
3年後の生存率は60パーセントもあるのです。
なんとしても肺ガンの早期発見率を高めたいというのでしたら、ヘリカルCT、腫瘍マーカー(CEA、SCC、シフラ)も利用しましょう。
「ギクツ、肺に影あり」
人間ドックなどで胸のレントゲンを撮った後、医師が診察することがあります。
その場で、医師がレントゲン写真を見ながら「ああ、肺に影がありますね。
心配ないとは思いますが、念のため大きい病院で詳しく調べてもらいましょう」という話をすることがあります。
「心配ないとは思いますが、念のため」と言われて安心する人はまさかいないでしょう。
これは、ガンだとしても告知するわけにいかない立場にいる医師の完全な「決まり文句」なのです。
大きな病院に行くと、今度は「ん~、心配ないとは思いますが、いちおう入院してよく調べてみましょう」と担当医が応じたりします。
こうなればあなたはほぼ完全に肺ガンといえましょう。
「肺に影がありますね」と言われたとき、それが肺ガンである確率は、ずばり45%です。
ということは、良性疾患、もしくは何でもなかったという確率が55%です。安心しましたか。
がんになった人は、転移のことなど考えず、『その部位だけががんなんだ』とわりきりましょう。
再発に怯えていたら、免疫力もすごく低下して、ならなくてもいいがんになります。
逆に、転移しても気持ちが前向きなら治る可能性が大きいようです。