ここ20年ほどの間に、肝臓ガンの治療は長足の進歩をとげました。
以前は肝臓を手術する、つまり肝臓にメスを入れることなど、とても考えられないことでした。
それなのに今では、ごく普通に肝臓の手術に取り組むようになっています。
それどころか、手術以外にも、肝動脈塞栓療法やエタノール局所注入療法など、いろいろ有効な治療方法が考案され、実地医療に役立てられています。
肝臓の機能の状態がその後の治療方法を決める
近親者が肝臓ガンで入院した時は、肝臓ガンの大きさと広がり具合(転移の有無など)、肝臓の機能がどれぐらい残存しているのかを、担当の医師からよく聞くようにしましょう。
腫瘍の塊が1つだけで、肝臓の機能が手術に耐えられるものであるのなら手術で取ってしまうのが一番です。
しかし、肝臓の機能が悪ければ肝臓の一部を取るわけにはいきません。
取った残りの肝臓の機能だけでは生きながらえることができない可能性があるからです。
うまく手術を行える状態でしたら、積極的に手術を行ってもらいましょう。
手術を行うことができた場合、5年後の生存率は約40パーセントです。
手術ができなければ、その他の治療方法を考えることになります。
肝臓の動脈を詰めたり、ガン細胞に向かって薬を注入したりして、ガン細胞を死滅させる方法を考えるのです。
ときにはお腹のなかに器具を装着して、持続的に抗ガン剤を投与する方法を採用することもあります。
どの治療方法を行うかについてはいちおうの目安がありますが、入院した病院で医師がもっともすすめる治療方法を行うのがよいでしょう。
手術ができず、他の治療方法しか行えなかったときの5年後の生存率は10パトセント程度です。
肝臓ガンのために死ぬよりもむしろ、もとの肝硬変のために死んでしまうことが多いのです。
しかし、肝臓ガンが見つかってからでも、治療を行っていると2~3年頑張れることが増えてきました。
つい十数年前まで、肝臓ガンと言われれば半年~1年でみんなが死んでしまう時代だったのですから、それを考えると肝臓ガン治療はずいぶん進歩したものです。
C型肝炎が治る時代になった
治療法がこの1年ほどでガラツと変わり、2014年まで使われた副作用の多いインターフェロン(IFN、注射薬)が姿を消した。
現在は1日1回の経口薬を12週間飲むだけで100%近い人で肝炎ウイルスの消失が得られるようになり、高齢患者にもやさしい治療になっている。
C型肝炎は、血液を介したC型肝炎ウイルスの感染で起こる。
自覚症状が少なく気付かない人が多い。
潜在患者は150万人ともいわれ、肝がん患者の約7割がC型肝炎感染者とされる。
2015年になって画期的な新薬が開発されて、DAAの2薬を組み合わせて1剤にした配合薬「パーボニー」「ヴィキラックス」が相次いで登場。
1日1回の服用で副作用も少なく、服用期間も12週でOk。
ウイルスタイプを選ばず、100%近い患者で治るとされている。
数年先には、C型肝炎が幻の病気になって姿を消してしまうだろうと期待されている。