日本人の4人に1人がガンで亡くなっています。その中で、大腸ガンで亡くなる人は、全体で第3位ですが、とくに、女性ではがん死亡率第1位とということで、大腸がんで亡くなる人が急増しています。
原因は、食生活の欧米化、たばこ、過度の飲酒、運動不足、肥満や遺伝などです。
大腸ガンの初期症状は、他のがんと同じで自覚症状はほとんどありません。
大腸の役割は、水分の吸収を行い、便を作ることですので、便に関するものが多く、便の状態を毎日確認することが大切です。
その症状は、血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、お腹が張るなどがあり、特に血便の頻度が高くなるといわれています。
ですから、血便があったら直ちに、その他にも便に異常があればできるだけ早めに病院へ行くようにしてください。
大腸ガンの成長速度は非常にゆっくりとしているので、大腸を調べてポリープやその他の異常がなければ、今後2年間はまず安泰と思っていただいて結構です。
検査を行った翌日に小さなポリープができ始めても、2年後はまだガン化していないでしょう。
仮にガン化していた場合でも、ほとんど心配不要な早期のものです。
早期の大腸ガンでは、大腸を取ってしまう手術を行うことはほとんどありません。
肛門から大腸ファイバースコープを挿入して、ガンの部分を観察し、ガンとその周囲の粘膜をはがし取る治療を行うのです。
はがし取った断端部にガン細胞がなければ、完全にガンを取り切ったといえるでしょう。
念のため、はがし取ったあとの大腸粘膜の部分を3~6ヵ月後にもう一度大腸ファイバースコープで観察すれば万全です。
運悪くそこそこ成長した大腸ガンが見つかった場合、その患者はどんな運命を迎えることになるのでしょうか。
実は大腸ガンは驚くほど救命率が高いのです
リンパ節に転移してしまったような進行ガンでも、手術を行いさえすれば、その後も長年にわたって元気に生活していける可能性は50パーセント程度あると思ってください。
肺ガンでリンパ節転移があれば、数力月以内に死んでしまうことに比べると、たいへんな違いです。
大腸ガンの進行が非常にゆっくりしていることと、治療技術が進歩したことのおかげです。
といっても、大腸の手術で人工肛門などをつくらざるをえなかったときは、その後の生活にかなりの不便がともなうことでしょう。
早期に発見することが一番です。
大腸ガンを早期に発見するためには、定期的に便潜血検査を行って、さらに注腸造影または大腸ファイバースコープを実施してもらうのが理想的です。
大腸ガンは芽生え育つのが非常にゆっくりとしているため、早期発見も容易です。
一人ひとりが意識して、大腸ガンの予防と早期発見に取り組めば、大腸ガンで死ぬ人は急速に少なくなるでしょう。
ガンの末期
ガンの末期状態では、結局はどういう死に方をするのでしょうか。
それを少しお話ししましょう。
胃、大腸、肝臓、膵臓などの臓器にできたガンの細胞か、お腹のなか全体に広がった状態をガン性腹膜炎といいます。
腹水がたまり、お腹が張って、患者は苦しい苦しいとうめきます。
この場合、結局はガン細胞から放出される悪性物質やガン細胞そのものの成分のために特殊な病態や腎不全が引き起こされて死んでしまいます。
どんなガンでも最後にはこの特殊な病態が若干関係することが多いのです。
その特殊な病態を「播種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Co-agulation、省略してDIC)」と呼んでいます。
これは、ガン細胞などに関係するさまざまな原因により、血管内で血液が勝手に固まりだしてしまう状態です。
血液はもともとケガをしたときなどの出血部位では固まり、血管のなかを流れるときはできるかぎりサラサラになるように調節されています。
この調節が乱れ、血管内で血液が固まりだしてしまうのです。
といっても、完全な血液の塊になるわけではありません。
少し固まってはすぐに溶け、また固まっては溶けるというのを繰り返します。
これが全身のいたるところで生じるので、たちまちのうちに、血液を固めるための成分(凝固因子)が不足してしまいます。
そのために全身のあちらこちらで出血性病変が起こるのです。
その結果、全臓器がダメージを受け臓器の機能が低下してきます。
この状態を多臓器不全といいます。
全臓器のなかでも腎臓の機能が低下すると、体内にたまった老廃物を排出することができなくなり、数日で死んでしまうのです。
大腸がんは早期に発見できると100%治癒するといわれています。
だからこそ早めに手を打つことが肝心なのです。
おならや便のにおいが変わってきた、腐敗臭のようなかなり嫌な臭さになってきたなどの、変化を感じられたら要注意です。
いずれにしても、初期段階では本当にわかりにくい大腸がん。
だからこそ、なんでもないけど検査するということが本当に大事なんです!