大腸ガンは、肺ガンや膵臓ガンと同様、近年、発症者数が急上昇しています。
大腸ガンは、肛門に近い部位である直腸にできた直腸ガンと、肛門から比較的遠い部位にできた結腸ガンの2つに分けられます。
日本では、この2つをあわせて急増中で2015年の部位別予測死亡数は50,600人の人が死亡しています。
ガンで死亡する人の約13パーセントです。
もともと大腸ガンは欧米先進国に多い病気でした。
日本人で大腸ガンにかかる人が増えてきたのは、食事の欧米化で肉類と動物性脂肪の摂取が増え、植物繊維の摂取が少なくなったことが原因と考えられます。
また、運動不足も大腸ガンを発生しやすくするようです。
大腸がんは近年増加傾向にあります。
国立がん研究センターの推計では、2015年の新規患者は約13万6千人で、がんの中で最も多いんです。
死亡者数では肺がんに次いで2位になっていますので油断してはいけません。
そのうえ、世界でもっとも大腸ガンにかかりやすいのは、なんとハワイやロサンゼルスに住んでいる日系人なのです。
どうやら、日本人は大腸ガンにかかりやすい体質のようです。
大腸ガンを予防するためには、肉の過剰摂取を控え、野菜や果物を多く食べることが重要です。
規則的な運動も大腸ガンの予防に効果的です。
50歳未満で大腸ガンを発症することはかなり稀ですが、20~30歳代の若い男女に発症し、かなりのスピードで広かっていくものもあるのです。
若い人の大腸ガンはあっという間に肝臓に転移してしまい、数力月で死んでしまいます。
そんな大腸ガンにかかってしまったときは交通事故にでもあってしまったと思って、あきらめざるをえないでしょう。
心配をしすぎると、かえって体の不調を招きます。
ただし、近親者のなかで40歳以下なのに大腸ガンで亡くなられた人がいるときは、十分注意してください。
大腸ガンの予防にはアスピリンが有効か?
若い人に発症する大腸ガンには若干の遺伝性があるようです。
万全の大腸ガンチェック態勢を考慮しておきましょう。
大腸ガンの予防にアスピリンが有効であることがわかってきました。
毎日、朝食後に少量のアスピリンを内服すると、大腸ガンが約30~40パーセント芽生えにくくなるのです。
仮に芽生えたとしても、ガンが大きくなる速度が極端に遅くなるのです。
「大腸ガンの予防にはアスピリン」と心にとどめておきましょう。
大腸ポリープと大腸ガンの芽生え
大腸粘膜にガンが芽生えたら、そのガンは少しずつ大きくなり、やがてその人の命を奪うことになります。
大腸ガンが大きくなる速度はきわめてゆっくりしており、通常は命を奪うまでには数年から十数年かかります。
ガンがどのようにして芽生えてくるのかを述べてみましょう。
最初は、まだガンとはいえない直径2~3ミリぐらいの小さなポリープから始まります。
ポリープというのは、体の内側にできたイボみたいなものだと思ってください。
普通、このポリープはガン化することなく、小さな姿のままです。
いつの間にか消えてしまうこともありますし、何十年もそのままの姿でいることも珍しくはありません。
ちょうど、体の表面にできたホクロみたいなものです。
病院で検査をして「大腸に小さなポリープがありますね」と言われても、「ああ、大腸にホクロができているんだな」と理解し、あまり心配しないことです。
ところが、ポリープのなかには、少しずつ大きくなっていくものが稀にあります。
ポリープ自体がだんだんと大きくなると、あるときポリープのなかの細胞の一部がガン化してしまうことがあるのです。
ですから、1~2センチ以上に大きく成長したポリ―プには、ガン細胞が含まれていることが多いと思ってください。
一般に5ミリ以上のポリープが見つかったときは、いちおう、大腸ファイバースコープでポリープをちぎり取ってもらうといいでしょう。
5ミリ以下の小さなポリープが見うかった場合、ポリ―プが大きくなっていないかどうかを、半年後ぐらいにもう一度検査してもらえば十分です。
ポリ―プの成長速度は遅いのです。
診察室で「大腸にポリープがありますね」と指摘されたら、「どれぐらいの大きさですか」と質問することです。
もし「5ミリ以上ありますね」と返事されたら、「大腸ファイバースコープをお願いできますか」と要請してください。
4ミリ以下の小さいポリープでしたら、「では、半年後ぐらいにまた検査をお願いします」と遠慮なく言いましょう。