食事の欧米化にともない、日本人にも大腸ガンが急速に増えてきました。
大腸ガンが発生してくる経過はかなり解明されています。
また、大腸ガンの成長速度はかなり緩慢なので、予防、早期発見は比較的容易といえるでしょう。
治癒率も高く、早期なら5年後の生存率は80パーセント以上です。
そこそこに大きく成長したものでも、50パーセント以上の確率で、5年以上生きていくことができます。
大腸がんの症状
大腸がんの発生は、大腸壁のもっとも内側にある粘膜にできたポリープ(良性の腫瘍)が、がんに変化する場合と、もう1つは、粘膜から直接がんが発生する場合があります。
ただし、早期の大腸がんの場合、自覚症状はほとんどありません。
それと、大腸がんに特徴的な症状はありませんが、多くの場合、次のような症状が現れますので、その際には一度病院で診てもらいましょう。
- 便通の異常
- 血便(便に鮮血または黒色の血液が混じる)
- 残便感
- 下痢と便秘の繰り返しなど排便時に気になることがある
- 便が細くなる
- 腹痛、腹部膨満感
- 痛みを伴うしこり
- 貧血・立ちくらみ
中でも血便の頻度が高く、がんによる血便では肛門痛がなく、暗赤色の血液が便に混じったり、ときに黒い血塊が出るなどの特徴があります。
大腸がん検診
ところで、あなたは大腸がん検診を行ったことがありますか。
胃のバリウム検査(胃透視)を行ったことはあるが、大腸のバリウム検査(注腸造影)を行ったことはない」という人がほとんどでしょう。
大腸ガンを発見するには、注腸造影や大腸内視鏡検査を行うのがもっとも理想的です。
しかし、一般には便潜血検査という検査を行っています。
口から肛門までの消化管、つまり、口腔内、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門に出血を起こすような病変があると、最終的に便のなかに血液がまじり込んできます。
この便中にまじり込んだ血液の有無を調べるのが、便潜血検査です。
血液がまじっていることを便潜血陽性、まじっていないことを便潜血陰性といいます。
ほんの少しの出血では陽性になることはまずありません。
1日約20∝以上の出血があって、初めて便潜血反応は陽性になるのです。
消化管内に出血性病変をもつ患者100人を集め、全員に便潜血検査を行った場合、何人が陽性になると思いますか。
1回の便潜血検査では上記の100人のうち、陽性になるのは60人です。
2日連続で計2回行えば、85人が少なくとも1回、陽性になります。
3日連続で計3回行えば90人が少なくとも1回は陽性になります。
便潜血検査は、できれば3日連続で行ってください。
一度でも陽性反応が出れば、心を引き締めて、大腸、胃の精密検査にとりかかりましょう。
ただし、痔や歯茎からの出血でも陽性になることがあります。
いずれにしても、大腸ガン患者は著しく増えてきているのですから、年に1度の便潜血検査を受け、血が認められた場合は大腸内視鏡検査を受けるようにすると、大腸がんを早期発見することができます。