肝臓は右の脇腹の内側に位置している、人体でもっとも大きな臓器です。
通常はきれいな濃いピンク色をしています。
肝臓が果たす仕事は実に多彩で複雑です。
多彩な役割を演じる肝臓と膵臓
1つの肝臓の仕事の代わりができる工場を建築しようと思えば、東京都庁ぐらいの大きさの建物が必要といわれるぐらいです。
突然、あなたの肝臓がなくなれば、すぐに意識朦朧となり、1~3日で死んでしまうでしょう。
非常に複雑な仕事を演じる肝臓ですが、驚くほど丈夫な臓器で、ちょっとやそっとでダメージを受けることはありません。
にもかかわらず、検診や人間ドックで5人に1人は「肝臓に異常あり」と言われているのです。
一度でも肝臓に異常ありと言われた人は、肝臓に対する「知識不足」からの場合が多いようです。
肝臓の主な役割を次に記しましょう。
- 体に必要な蛋白を合成する。
- 体内に入ってきた異物や老廃物を処理する。
- 胆汁を合成する。
- 糖分を蓄える。
つまり、「肝臓が悪い」ということは、以上の機能がそのうち低下することを意味しているのです。
膵臓の重要な役割は2つ
一方、膵臓は胃の後ろ側に位置しています。
この場所は背中の真ん中のすぐ内側にあたります。
- 一つは膵液をつくって十二指腸内に分泌すること。
- もう一つは、インスリンというホルモンを血液中に分泌することです。
膵液は食物の消化に重要な酵素です。
インスリンは血糖値を低下させる働きをもっています。
もし、インスリンがなくなれば、血糖値はどんどん上昇し、たちまち500(mg/dl)以上になってしまい、意識が朦朧としてくるでしょう。
心臓と肺は生命維持装置
血液を送りだし、全身の血液循環を維持するのが主な役割です。
心臓がとまることは、即、死を意味します。
心臓は筋肉の塊で、この筋肉が収縮したり弛緩したりすることにより、ポンプの働きをするのです。
心臓の筋肉は24時間休むことはありません。
休みを与えてあげることができないのですから、大変な重労働をしているのです。
あなたが、楽しく遊んでいようが、疲れていようが、心臓は黙々と働いているのです。一般的に心臓に過酷な重労働をさせた人は長生きできません。
このことはスポーツ選手の平均寿命が決して長くないことからもわかるでしょう。
ところで、あなたは腕立て伏せを何回できますか。10回、20回……50回と続けていくと、やがて腕の筋肉に力が入らなくなり、腕立て伏せを続けるのが困難になります。
ところが、心臓はどれほど疲れていても、休まずに働き続けるのですから、日頃からいたわる心を忘れないようにしましょう。
生まれつきあなたの体にくっついていて黙って働いてくれるからといって、あまり強い労働を課さないようにしてください。
かといって、怠けさせすぎると少しの労働ですぐ疲れるようになってしまいます。
心臓にはほどよい労働を与えてあげることが大切
高血圧や肥満体の人の場合、心臓が血液を送りだすとき、普通以上に大きな力を必要とします。
当然、長生きできません。
心臓の筋肉に、酸素と栄養を与える動脈を冠動脈といいます。
冠動脈は心臓を取り巻いていますが、この一部がつまってしまうと、心臓の筋肉は死んでしまいます。
その状態を心筋梗塞ということはすでにご存じでしょう。
肺は胸の筋肉と肋骨の内側いっぱいに広がっているスポンジのような臓器です。
網の目のような空気の通り道のすき間に、非常に細い毛細血管が取り巻いています。
そこで、空気と血液は互いに触れ合い、血液は酸素を吸収し、二酸化炭素を放出するのです。