動脈硬化を促進させる4本の柱の第1としてまず体重管理というものが挙げられます。
疲れやすい、肩が凝る、なんとなく活力が湧いてこない……と思えば、まず体重計に乗ってみることです。
体重が1~2キロ増えていませんか。
「たった1~2キロの体重増加ぐらいで大袈裟な」 そう思う方は、腰のまわりに2キロの砂袋を巻きつけて1日生活してごらんなさい。
昼すぎから夕方には、すごい疲労感に襲われるでしょう。
競馬がそうです。
体重500キロもある馬の背負う重量がたった数キロ違うだけでレースの結果が変わってしまうのです。
下のグラフをよく見てください。

今現在生きている人の各年代層における平均皮下脂肪厚を示したものです。
このグラフは非常に大切なことを2点ほど物語っています。
第1点は男女とも20歳代から皮下脂肪が厚くなっていきますが、50~60歳をこえたあたりから、生きてる人の皮下脂肪厚の平均値は薄くなってくるということです。
「高齢になると食が細くなるから」という声がきこえてきそうです。
それも確かに一理あるでしょう。
でも、一番の原因は、皮下脂肪の厚い人は、50~60歳をこえたころから次々とお亡くなりになるということなのです。
肥満者が死亡してしまうから、生きている人を集めたときの平均皮下脂肪厚が高齢になると薄くなるというわけです。
80~90歳で元気な人がいますが、肥満体の人はほとんどいません。
第2点は40歳代男性の平均皮下脂肪厚は、30歳代のころより少し薄くなっているということです。
この意味を深く考えると、少々怖くなってきます。
20歳代のころより太っていた人の中には40歳ぐらいで亡くなる人が多いということを意味しているのですから。
40歳代で心筋梗塞や脳卒中を起こして救急車で運ばれてくる人は、ほとんどが肥満ぎみの人たちです。
もし、20歳代から太めの体でしたら、大至急減量に取り組んでください。
もつとも長生き確率が高い体重は?
体重と健康管理の相関には、とてもわかりやすい数値化された指標があります。
それがBMI(Body Mass lndeX)です。あなたのBMIを計算してみてください。

BMIと有病率、死亡率のあいだには密接な関係があります。
その値が22.2なら長生き計画を立てるうえで理想的です。
しかし、22以下か24以上なら、有病率、死亡率はかなり高くなっている状態といえましょう。
グラフを見ればわかるように、もっとも有病率が低いのはBMI=22.2です。
この数値を目標に体重管理につとめてください。
心筋梗塞を発症した100人のうち、病院にたどり着くまでに30人は死んでしまうと先に述べました。
この30人のほとんどはBMI=24以上の人たちです。
BMIの値を聞かれたとき、「22.2です」とすぐ答えられるような状態にすること。
それが健康管理の第一歩です。
ところで、日本の30歳以下の女性は日頃の努力の成果(?)で、ほとんどの人がBMI=22以下です。
30歳から50歳にかけて体重は増えていきますので、数値が低すぎても心配する必要はありません。
でも、BMI=22.2の体重でとどまるよう心がけてください。