動脈硬化のメカニズム

コレステロールについてあなたは本当に知つていますか?

コレステロールについては新聞や雑誌などで、悪評ばかりが記載されているのでコレステロールは体に悪いと決めつけている方が多いはずです。

でも、コレステロールが血管のなかにたまるのはよくありませんが、体にとって必要な栄養素であり、細胞の重要な構成成分でもあるのです。

ですから、公平な目でコレステロールを見つめてみると、当然、体内には一定量のコレステロールが必要であることが理解できます。。

そのコレステロールは、体のなかで次のような役割を演じています。

■細胞膜の材料になること。

■男性ホルモン、女性ホルモン、副腎皮質ホルモンの成分になること。

■胆汁酸というものの材料になって腸からの脂肪の消化吸収を助けること。

ですから、コレステロールが不足すると、体にいくつかの障害が現れてきます。

もっとも不都合な障害は、血管が脆くなって、脳出血を起こしやすくなるということです。

そういえば、敗戦直後の栄養不足の時代には、脳出血で亡くなる人が多かったようです。

血液中のコレスレロールは要注意!

ところで、この血液中に溶け込んだコレステロールは、どこからやってくるのでしようか。

主に2つの場所からやってくるのです。

1つは食物に含まれるコレステロールそのもの(卵やモツなど)が、腸から吸収されて血液中に溶けでてきたもの。

もう1つは飽和脂肪酸(バターやラードなど)を原料として肝臓で合成され、血液中に放出されたものです。

血液中に溶け込んだコレステロールは、体中を駆け巡りながら、その役割を果たしているのです。

大切なコレステロールを悪者扱いしてはいけません。

しかし、この大切なコレステロールも、腸からたくさん吸収されすぎたり、肝臓でたくさんつくられすぎたりすると、体に異変を引き起こすようになってしまいます。

血液中のコレステロール濃度が高くなりすぎると、動脈が硬化し、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。

善玉 悪玉 コレステロールの区別あり

あなたのコレステロール値がいくつか、すぐに答えられますか?

「異常なしと言われているけれど……」などと言わないでください。

「189です」や「256です」というように、具体的な数値ですぐ答えられるようにしましょう。

ところで、コレステロールと一ロにいっても、それの関連用語はたくさんありますが、全部を覚えるの必要はありません。

頭のなかに、3つのコレステロールだけを確実にイメージできるようになれば良いでしょう。

1つは「総コレステロール」というもの。

そして、もう1つが「HDLコレステロール」と呼ばれているものです。

3つ目がは、「LDLコレステロール」というものです。

普通、単にコレステロールといえば、総コレステロールのこと。

では、HDLコレステロールというのは、どんなコレステロールでしょうか。

少しばかり医学に詳しい方でしたら、「コレステロールには善玉と悪玉がある」ということをご存じかと思います。

このHDLコレステロールが『善玉コレステロール』です。

このHDLコレステロールは、血液中のよぶんなコレステロールを肝臓に送り戻す働きをします。

だから『善玉コレステロール』といわれるのです。

一方、『悪玉』のLDLコレステロールは、肝臓で合成されたコレステロールを血管の細胞などに送って蓄積させる働きをします。

蓄積の結果が動脈硬化となって現れるというわけです。それで悪玉コレステロールと呼ばれています。

コレステロールの目標値

では、このコレステロール、どれぐらいの数値を目標にすればいいのでしょうか。

ずばり申し上げます。

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総コレステロールは180~220を目標にしてください。

それより高くても、また低くてもいけません。

220より高いと、動脈硬化が年齢分以上に進行してしまいます。

180より低いと、コレステロール不足の状態になります(ただし、65歳以上の人は240ぐらいまで大丈夫です)。

一方、HDLコレステロールは40以上で、高ければ高いほどいいのです(さすがに100以上だと困りますが……)。

繰り返しますが、HDLコレステロールとは善玉コレステロールのことです。

これは高ければ高いほど長生きできるのです。

あなたの総コレステロールとHDLコレステロールの値はいくつですか。

かつて受診した人問ドックや健康診断の結果を持ってきて調べて見てみてください。

総合判定棚を見るだけでなく、一つひとつの結果を自分の頭脳で考察することが大切です。

グラフは総コレステロール、HDLコレステロールの値と心筋授塞の発症率を示しています。

自分の数値がどこに位置するか当てはめてみてください。

すると、心筋梗塞の発症率が人並みよりどれぐらい高いかおわかりになるでしょう。

たとえば、あなたの総コレステロールが232なら、220以下の人の約1.3倍の心筋梗塞発症率。

また、HDLコレステロールが31なら、50以上の人の約2.2倍の心筋梗塞発症率といえるのです。

コレステロールに関連する用語として、前記した総コレステロールとHDLコレステロールとLDLコレステロールのほかに、中性脂肪、VLDL、リポ蛋白、アポ蛋白などいろいろありますが、難しくなりますので、ここでは触れません。

総コレステロールとHDLコレステロールだけきっちり覚えてください。