花粉症の鼻づまりを解消する鼻噴霧薬で、注意していただきたいのは、病院で処方するステロイド入りの鼻の噴霧薬(点鼻薬)と、あなたが町の薬局で購入する市販の鼻噴霧薬とは違うということです。
病院が処方するステロイド入りの噴霧薬は、効果が出るまで1日とか2日かかります。
鼻に噴霧した瞬間に、つまっていた鼻がすっと通る、というものではありません。
一方、市販の噴霧薬を鼻にふきつけると、その瞬間、すっと通ります。
では、市販のほうがずっと強力なのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
市販の噴霧薬には、血管収縮薬が入っていて、噴霧した瞬間、すっと空気が通るだけです。
ステロイド入りの鼻の噴霧薬はなぜ血管収縮薬が入っていないのか?
ステロイドの効きがわるいのではなく、クスリの成分そのものが違っていて、作用が根本的に違うのです。
では、どうして病院が処方する鼻の噴霧薬に、そんな血管収縮薬が入っていないのでしょう。
それは、血管収縮薬が入った噴霧薬を頻繁に使い続けていると、リバウンド現象というのが起き、鼻づまりがさらに悪化することが知られているからです。
こういった注意は、もちろん明記されてはいますが、とにかく、市販の鼻噴霧薬の場合、一日に何回も噴霧するという使い方は、ぜったいにしないでください。
花粉症のクスリは、内服薬や鼻の噴霧薬、点眼薬など、ほんとうに種類がたくさんあるだけでなく、1日3回のむものから1日1回でいいもの、そしてお子様用のシロップまで、多種多様です。
そんなたくさんのクスリを患者さんごとにどう使い分けるかが、実は医師の腕の見せどころの一つなのです。
鼻づまり自己解消法と鼻洗いのしかた
鼻づまり自己解消法
- 生理食塩水(水500ミリリットルに食塩小サジすり切り1杯弱、4.5グラムを溶かす。濃度0.9パーセント)で鼻の中を洗う
- 鼻の上部に、蒸しタオルやカイロなどをあてて暖める
- 切った玉ねぎを鼻の前にもっていって、何度も鼻で深呼吸をする
- うなじの両脇のつぼ(天柱といいます)を指圧する
- 左右の小鼻に指の腹をあてて少し強めにマッサージし、鼻のすじに添って、付け根あたりまで指圧する
- マスクをしたまま寝る
- 汗をかくくらいの運動をする
- 部屋を加湿する
などなど
鼻洗いのしかた
- まず守っていただきたいのは、生理食塩水(濃度0.9パーセント。500ミリリットルの水に食塩小サジすりきり1杯弱、4.5グラムを溶かす)を使うということです。生理食塩水は鼻の粘膜にやさしく、しみることがありません。水道水を使ってはいけません。
- 食塩水の温度は25~30度。洗うのは、一日に数回までにしてください。
- やり方は、前かがみになって、生理食塩水を入れたボトルを片方の鼻孔にあてて手で押し、「あー」と声を出しながら鼻に注ぎます。鼻孔を変えてもう一度やります。よく、むせるとか、苦しいという声を聞きますが、顔を下に向けて、「あー」と声を出しながら洗えば、ます大丈夫です。そのあと軽く鼻をかめば、すっきりします
- 数回の鼻洗いでも追いつかないときには、耳鼻科で鼻水などの吸引をしてもらってください