花粉症 減感作治療の検査や、治療のスケジュールについては、まず、問診と検査から始まります。

問診と検査の項目
《問診の項目》
- 年間を通して考えて、どういう症状がいつごろ出て、いつごろまでつづくか
- 1日のうち、いちばん症状が出やすいのは何時ごろか
- 初めて症状が出だのはいつか
- 通年|生のアレルギー性鼻炎や、食べ物のアレルギーはあるか
- 家族に花粉症と診断された人はいるか
- 犬や猫などを飼っているか
- タバコは吸うか
- くしゃみは出やすいか。ラーメンを食べると、汗が出たり、鼻水がでたりしないか
- お住まいはどこか
- 職業は。勤め先は。出身は。などなど
《検査の項目》
- 鼻粘膜(鼻鏡)検査
- 鼻汁好酸球検査
- RAST検査
- 皮膚反応検査(皮内テスト)
- 鼻誘発検査(鼻誘発テスト)
- エックス線・CT検査
鼻づまりが強い方に、副鼻腔炎などがないか、ポリープなどほかの鼻の病気がないか、調べる検査です
減感作療法は、アレルギーの要素が少ない、粘膜や神経の過敏症の方には、あまりいい方法ではありません。
ですから、患者さんには、最初に問診と検査をして、その方の花粉症が減感作療法に合っているかどうかをしっかりしらべます。
また、こういった検査は、風邪薬などをのんでいると、結果が正確にでませんので、検査を受ける前は、クスリの服用は控えます。
花粉症 減感作治療とは
減感作療法は「特異的免疫療法」とも呼ばれます。
スギやブタクサなど、特定の抗原に対して免疫をつける治療だからです。
ただ、おなじように免疫をつける、ウイルス系のオタフクカゼや麻疹のワクチンとちがって、スギ花粉症では、一回花粉を吸い込んだだけで病気になるわけではありませんから、ワクチンを一度や二度注射しても、花粉に反応しなくなるほどの免疫はできません。
免疫ができるまで、何回何十回と注射を重ねていきます。
減感作治療の実際
まずは、減感作治療の開始時期が大事な注意の一つでして、花粉が飛び出す、少なくとも3ヵ月ほど前に治療を開始する、ということです。
減感作療法の目標である「維持量」に達するまでには、ふつうは、どうしても12~13週、つまり3ヵ月くらいはかかりますから、スギ花粉が原因なら、遅くても前年のの十月ごろには始めます。
検査の結果、減感作療法の効果があるスギ花粉症とわかったら、あなたの「閾値」(ある刺激が生体に反応をひきおこす最小の値のこと。反応を起こす境目になる数値なので、閾の値と書きます)をしらべます。
具体的には、スギ花粉から採った、閾値を知るための標準エキスを、たとえば1000倍に薄めたもの、100倍に薄めたもの、10倍に薄めたものというふうに、濃度の薄いものから順に皮内に注射していきます。
すると、初めて赤く腫れる症状が起こる濃度がわかります。
その希釈倍率が、その人の「閾値」で、減感作療法の、まず最初の目的は、閾値の濃度のスギ花粉エキスを注射しても、反応が出ないようにすることです。
そのために、閾値の濃度を薄めたものから出発して、そのあと慎重に患者さんの様子をみながら、注射液の濃度を上げていきます。
そして、エキスがその人に対して許される最大の濃度になったもの、これが「維持量」です。
この「維持量」の濃度は、人によって、またアレルゲンによって違いますが、スギ花粉で使っている濃度の単位の場合、ほぼ2000JAU(ジャパニーズ・アレルギー・ユニット・日本で使っているスギ花粉エキスの濃度の単位)、量としては0.05~0.1ミリリットルくらいです。