花粉症という診断は、あなたから専門医が問診で、よくお話を聞いたうえで、血液検査や鼻汁検査などの結果に、花粉症の原因になる花粉のエキスを皮膚や鼻に入れたときの症状を加味して決めるのです。
花粉症の三大症状といわれる鼻水、鼻づまり、くしゃみは、春先に多い風邪症候群でも、ごくふつうにみられる症状ですし、通年性アレルギー性鼻炎など、ほかのアレルギー性疾患でも、よく鼻がつまったりします。
ですから、風邪かどうかわからないときには、インフルエンザウイルスの検査をしたり、細菌感染があればふえる白血球やCRPなどの検査も、いっしよにすることがあります。
ただ、これは花粉症かどうかだけの検査で、どういうタイプの花粉症なのかは分かりません。
とはいえ、鼻の症状に加えて目やのどに症状が出ているなら、かなり花粉症、それが春先という時期であれば、スギ花粉症の可能性が高いといえます。
花粉症はさまざまな植物の花粉が原因で起こりますが、どの花粉症も突然発症しますから、去年までなんともなくても、不思議はありません。
一度、耳鼻科をお訪ねください。目の症状が強いなら、眼科でもかまいません。
花粉症の症状と通年性アレルギー性鼻炎の比較
《花粉症の症状》
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、涙、肌荒れ、消化不良、食欲不振、吐き気(口の中がザラザラする)、頭が重い、だるい、熱っぽい(発熱)、顔のむくみ、イライラする、眠れない、など
《通年性アレルギー性鼻炎》
一日に何度もくりかえすくしゃみ、水のように流れる鼻水、鼻づまり、という花粉症とおなじような症状が、年間を通して起こるところが、花粉症とはちがう病気です。
これもアレルギーの病気で、原因はハウスダスト、なかでもダニが多く、そのほかペットの毛なども原因になります。
ちなみに花粉症は通年性に対して、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。
なぜ病院へ行ったほうがいいのでしょうか?
それにははっきりした理由があります。
花粉症を正確に診断し、治すことができるのは、医師しかいないからです。
それも、これからお話しする「治療法」を熟知している医師しか、花粉症は治せません。
花粉症の特徴の一つは、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどに悩まされている方は多くても、耳鼻咽喉科できちんと「花粉症」と診断された方が少ないことです。
これは今はやりの「メタボ」(metabolic syndrome 代謝性症候群)にも似ていますね。
「メタボ」も花粉症とおなじく、正しく理解されていないのに、みんなが名前だけは知っている病気です。
花粉症の患者さんは約2000万人といわれます。
ざっと5~6人に1人ですから、あなたのまわりにもたくさんいらっしゃることでしょう。
そんな花粉症の先輩から、花粉症は治らないとお聞きになったことがあるかもしれません。
じっさいにもう十年以上も病院にかかっている人も少なくありませんし、症状が出てから二十年以上、病院にいくことなく、市販のクスリや民間療法などで、この時期を乗り切っている方も珍しくありません。
治らないといわれるのは、花粉症になったのは、その方の体が花粉に異常反応する「アレルギー体質」になってしまったからです。
そして、この「アレルギー体質には、死ぬまでつづきます。
でも、そんな方でも、病院に、一度、足を運んでみてください。
専門医だからといって、すべての花粉症の方を治すことができるとはかぎりませんが、少なくとも医師がきちんと診察すれば、「治すことができる」花粉症かどうかはわかります。
花粉症は、ほかに特別な事情や重い病気がないかぎり、花粉症だけで亡くなることはまずありません。
しかもスギ花粉症なら、症状に悩まされるのは二月の下旬から四月いっぱいですから、その間をやりすごせばいい、病院へいくのは面倒だとお考えになるのも、無理がらぬことですが、花粉症かと思ったら、一度はぜひきちんと専門医の診察をお受けになったほうが賢明です。