ある薬品会社のアンケートをみると、病院にかかったり市販薬をのんでいる花粉症患者さんの「満足度」は、わずか40パーセントしかありませんでした。
また、別のアンケートでは、約75パーセントの方が病院の治療や市販薬に不満をもっていて、あなたもその一人というわけです。
なかなか治らないという、その答えは簡単です。
あなたの花粉症は、どうして治らないのでしょうか?
一言に花粉症といっても、その内容や原因が人によってまちまちなのに、一般の市販薬や病院の治療は、そんな違いに目を向けない、通り一遍のものになっているからです。
花粉症のあなたは、朝、起きぬけに、くしゃみが出たりしませんか。
花粉症シーズンに起こるこの朝の発作を「モーニングアタック」といいますが、考えてみると、おかしな話です。
就寝中は室内でふとんに入っていますから、花粉を吸ったわけではありません。
それなのに、なぜ「発作」が出るのでしょう。
また花粉症の人でも、そんな発作が起こらない方もいます。
それは、おなじ外界の変化に対しても、その反応に非常な「個人差」があるからです。
とくに花粉症の症状である涙や鼻水などという、からだの分泌活動には、個人差が大きいのです。
この個人差の究明こそ、これからの花粉症治療の重要なポイントです。
個人差がなぜ起こったかを見極めることができれば、あなたの花粉症を根治する治療や、効果的に症状をやわらげる治療が提供でき、40パーセントしかない満足度を、ぐんと向上することができるはずです。
インフォームド・コンセントも足りていません
治療の満足度が低いのには、もう一つ大きな原因があります。
いまの医療で重要とされるインフォームドーコンセント(説明と合意)が、花粉症では充分になされていないからです。
なぜ春になると鼻水がでるのか、目がかゆくなるのか、鼻づまりがひどいのか……実はおなじスギ花粉症でも、その症状や程度は、患者さんごとに違います。
しかし、スギ花粉のシーズン中は、いつも診察室からあふれるくらい患者さんが多いので、多くの医師は、「ああ、花粉症ですね」の一言で、ほとんど説明することもなく、通り一遍の治療をしてきました。
しかも、通り一遍の治療でも、「それなり」に効果かおるのが、花粉症の特徴の一つなのです。
しかし、「それなり」は、どこまでいっても「それなり」でしかありません。
症状の軽いうちはまだいいのですが、重くなってくると、とても「それなり」では手に負えなくなってきて、治療の満足度が、さらに、がくんと下がるというわけです。
ですから、あなたに対して、花粉症の専門医がやらなくてはならないのは、何がこのような症状を出させているのかを、患者さんひとりごとに科学的に説明することです。
そのうえで患者さんから、どんな治療を望むのか、花粉のシーズンだけ症状を消せばいいのか、未来永劫ずっと治したいのかなどをうかがって、その患者さんの希望に合った最適の治療法を提供する……
これが、本当の「花粉症」治療であり、こういうふうにしていれば、7割以上の方が治療に不満をもつようなことは、起こらなかったはずです。
というわけで、あなたに、まず申し上げたいのは、自分の花粉症は治らないとあきらめないこと、そして、自分の花粉症がどんなタイプなのかを知ることが大切だ、ということです。
たしかに花粉症には、治る(根治する)花粉症と、根治の難しい花粉症があります。
あなたの花粉症がそのどちらであるかは、専門医にきちんと診察をしてもらわなくてはわかりません。
そして、治らない花粉症だったとしても、いまの症状を、うんと軽くすることは可能です。
ですから、自分の花粉症がどんなタイプなのかを知ることが、なにより大切なのです。
《花粉症の特徴》
- 続けざまにでるくしゃみ
- 水のようなサラサラした鼻水
- がんこな鼻づまり
- 目やのどのかゆみ
- 少し熱つぽかったり頭痛がする
- 頭がぼーっとして集中できない
- 毎年、同じ時期に同じ症状が出る
- 家族の中にアレルギー体質の人がいる
花粉症の症状は風邪と似ています。
しかし、花粉症のくしゃみは、一度でると立て続けに何回もでるし、鼻水は、風邪の場合は、はじめサラサラしていても徐々に粘っこくなりますが、花粉症では水っぽいままです。
また涙も出ます。
こんな症状に加えて、のどや目のかゆみがあれば、少なくとも風邪ではありません。
ただ、おなじアレルギー疾患の通年性アレルギー性鼻炎でも、まったくおなじ症状が出ますから、それだけで決めるわけにはいきませんが、通年性のほうは、一年中、症状が出ていますから、一応の区別ができます。