花粉症対策は早めがポイント!

減感作療法の効果は花粉症を根治させる療法という認識が世界的に共通している

減感作療法は、現在、花粉症を根治させるに効果のある唯一の方法ということです。

ただ、時間がかかります。

また、病院へ通い続けなくてはなりません。

花粉症の症状がそんなに重くなく、クスリやマスクなどで、シーズンをなんとか過ごせているなら、そのままでもいいでしょう。

しかし、あなたがまだ若く、花粉シーズンの間、眠れない夜がつづいたり、熱が出たり、お化粧ができないくらい顔が腫れたり、一瞬もティッシュが手離せなかったり、頭痛や腹痛がひどくなったりという、かなり重い症状がつづくのなら、一度、減感作療法を検討する価値は充分にあります。

あなたの花粉症の症状が粘膜の過敏性などで起きているのではなく、純粋にアレルギーが原因の減感作療法に向くタイプなら、治療のあとまったくクスリのお世話にならないで、花粉のシーズンをすごせる可能性があるからです。

とくに、あなたが若ければ若いほど、減感作療法のメリットは増します。kangens

なにも治療せずに、自然のままで花粉症がらくになるのは、免疫の反応が鈍くなる、80歳を過ぎてからです。

それまでいったい何年あるか……何年、あの症状をがまんしなくてはならないかということも、一度、お考えになってみてください。

減感作療法は古くて新しい治療法です

減感作療法は、今から約百年前、1911年にイギリスのターン医師が始めた「古い」治療法ですが、最近になってさまざまな試みがされている、花粉症治療ではもっとも革新的で「新しい」治療法でもあります。

WHO(世界保健機関)や日本のガイドラインにもあるように、花粉症の根治療法が減感作療法だという認識は、世界的にも共通しています。

そのガイドラインでは、減感作療法について、5歳以下の患者さんは副反応が出やすいため治療に際して気をつけたほうがいいということと、原因であると、はっきりしている抗原(アレルゲン)にだけ行なったほうがいいとも書かれています。

そして、この療法がもっとも効果があるのが花粉症で、二番目が刺性昆虫です。たとえばハチアレルギーの患者さんに行なえば、剌されても死ななくなります。

そして三番目がアレルギー性の結膜炎や喘息です。

欧米ではどんどん普及しているのに、なぜ日本では、今まであまり減感作療法が普及しなかったのか、あるいは、「効かない」という話か広まっているのでしょうか。

日本で普及しなかった二つの大きな理由加とは

  1. アレルギーの関わりが乏しい過敏性の強い人にも、この療法を行なっていた。つまり、効かない人にやっていた。
  2. 実際に治療を行なっていた医師が、アレルゲンの再投与による激烈なアナフィラキシー発作をこわがって、充分な量をやっておらず、そのために体の免疫変化が起こせなかった、つまり、効かない量をやっていた。

これが減感作療法が普及せずに、逆に効果がないという事にまでなっている大きな理由です。

日本医科大学のデータによると、事前にきちんと検査して、アレルギー以外のいろいろな過敏症をチェックし、治療のときは、毎回、最初から最後までスタッフが専属で、どんな反応が起こっても大丈夫なように準備しておこなってるので、量が足りずに免疫変化が起こせないこともありません。

その結果、治療を受けた方のほぼ80パーセントが、鼻や目の症状が本当にらくになったといっていて、とくに3分の1の方は、ほとんどクスリなしに花粉シーズンを送ることができるようになったのです。

また、減感作療法を始めて一年以上経った人がスギ花粉の大量飛散年にぶつかっても、60パーセントが無症状、22パーセントが軽症なままで過ごし、鼻づまりなど生活に何らかの支障が1週間以上出た人は17パーセントであったという効果がありました。

減感作療法は患者さんごとに治療計画をたてることが重要です

現在の日本の花粉症治療の実態は、市中のクリニックで花粉症を治療している多くの医師は、ごく短期間でしか、その患者さんをみていません。

スギ花粉症ならせいぜい二月から四月か五月までの2~3ヵ月、しかもその患者さんが来年またきてくれるとは限りませんから、不特定多数の患者さんに短期間クスリを渡しているのが、実態です。

治療は、先ず当然のことですが、一通りの診察と検査をします。

それが終わったあと、お話しするのが、その方の花粉症のこれまでと、これから治療をしないで放っておいた場合の自然史です。

いまあなたのなかでは、細胞の状況がこんなふうに変わってきて、こういう原因物質がたくさん出ているから、鼻の症状が強いのです。

皮膚も少しカサカサしていますね、お住まいの地域や環境を考えると、もう少したつと、鼻の症状が少し軽くなるかわりに、皮膚の症状が強くなるかもしれません。

そして、目が腫れたり、微熱が下がらないという、ひどい花粉症の症状は、たぶんお年寄りになるまでつづきます……。

そして、そのあと「あなたの花粉症の症状をらくにするには、この自然史を変えなくてはなりません。

花粉症のクスリは、歴史を変える決め手にはなりません。

つらい症状をらくにするだけですから、やめれば、またおなじような症状がでてきます。

自然史を変えるには、いまあなたにアレルギー反応を起こしている抗原で、別の免疫を作り、あなたのアレルギー細胞そのものを変化させるしか方法がないのです。

それが〈減感作療法〉です。

ただ、減感作療法が効果をあらわすには、何年という時間かかかります。

いま鼻づまりがひどくて、このままでは仕事や勉強も手につかないというのなら、一度手術して、鼻づまりをらくにしておくのもいいでしょう。

鼻水にも頭痛にも、それぞれいい治療法がありますから、そのうち、どれを選び、やるとしたらどのタイミングがいいのか、そういったことを、あなたの症状に年齢や職業なども加味して、まずいっしょに考えていきたいと思います。

これがあなたの治療計画で、この治療計画なしに、治療は始まりません。

花粉症の治療は、実はオーダーメイドなのです。

花粉症の原因や症状はその人ごとにちがいますから、治療のやり方も、その人ごとに違えなくては効果があがりません。