腸内細菌は免疫系や神経系と深く関わっていますから、腸内細菌のバランスが崩れると、体全体のバランスが崩れてくるということは、おわかりいただけたと思います。

腸内細菌叢の乱れは、さまざまな症状や病気を引き起こします。

腸内細菌叢の有害菌優位は病気の始まりか?

腸内に雑菌やばい菌が住みついて、有害菌が増えるということは、免疫力や抵抗力の低下を意味します。

たとえば、私たちの体内に侵入してくる無数の細菌は、感染症とともにガンや潰瘍の間接的な原因になるともいわれています。

腸内細菌叢の悪化にともなって、細菌や病原菌が増殖し、ガンや潰瘍のできやすい状態に腸内が変化するからです。

私たちが生活している環境には、数多くの微生物がいて、無数の細菌が口から体の中に入ってきます。

その数は、一日に3000億にものぼるといわれています。

これらの体の中に侵入してきた細菌の大半は、正常に強い胃酸(PH1.5~3.0)によって殺されますが、ある程度の細菌は、有用菌優位の腸内環境であれば、日和見菌として腸内に定着すると考えられます。

しかし、体の免疫力や抵抗力が弱いと、日和見菌は強い酸化作用をもつ病原菌になってしまうのです。

そのため、普段から規則正しく食事をとり、有用菌を増やして、腸内細菌のバランスをきちんと正常状態にしておくことが大切になってくるわけです。

腸内細菌を正常にしておく胃酸の働き

有害な細菌が口から入ってきたときに、まずそれを殺してくれるのは胃酸です。

乳酸菌の働きとして、腸内に病原菌が侵入したとき、感染や中毒から体を守ります。

ここで乳酸菌に協力するかたちで、病原菌に対抗するのが胃酸なのです。

胃酸は正常な状態ならPH1.5~3.0の強い酸で、病原菌を殺す力をもっています。

胃酸は、口から入った細菌が腸に行くまでに、そのほとんどを強い酸で死滅させます。

また胃酸には、腸内細菌叢のバランスを保つ働きもあります。

ですから、腸内細菌を良好な状態にしておくには、胃酸がきちんと働いてくれなくてはならないわけです。

ところが、こうした胃酸の働きを妨げるのが制酸剤などの胃薬です。

食べすぎたり、胃がもたれると、すぐに胃薬を飲む人は多いと思います。itoshi3

胃薬には弱い制酸剤から作用の強いH2ブロッカーなどの薬品があります。

もし胃・十二指腸潰瘍などができれば、二、三週間は抗酸剤を飲む必要があります。

しかしその間、生活習慣、食生活の乱れを正さなければ潰瘍は治らないし、またすぐ再発します。

胃薬は本来体に備わっている菌の防御力を失わせるもの

そんな胃薬を飲み続けていると、まず消化酵素が胃酸がないために活性化されないので食物がよく消化されません。

また、正常に強い酸がないとカルシウム、マグネシウム、鉄、銅といったミネラルの吸収が相当に阻害されます。

薬品で胃酸の分泌を強制的に長期間(2~3ヵ月以上)おさえていると、胃の粘膜が顕微鏡的に薄くなります。

すなわち胃の粘膜を構成している絨毛の突起が極端に短くなり、胃の正常機能が劣化します。

この変化を萎縮性胃炎または腸上皮化生といいます。

萎縮性胃炎があるといわれた人がいらっしゃると思いますが、このような変化は胃ガンの前駆状態、言いかえれば胃ガンになりやすい状態ということなのです。

ピロリ菌や他の雑菌も住みつきやすくなります。

それから、胃ばかりでなく健康維持にとっての大敵は、夜遅く食事をとることです。

寝る4~5時間前に食事をすませて、寝ている間に胃が空になっていれば、正常に強い胃酸が胃の中の細菌を殺してくれます。

しかし、寝る前に食事をすると、胃の中の食物が胃酸と一緒に食道に逆流したり、胃から腸への正常な流れが滞ります。

寝ている間に胃の中に食物があると、とくに横隔膜ヘルニアのある人は、胃の内容物が食道に逆流して食道炎を起こしたり、また睡眠中に気管や肺の中に吸い込んで慢性の気管支炎や肺炎、ぜんそくを起こす原因になったりします。

そして、このような夜遅く食事をとることによる胃の中の停滞は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍や胃ガンの原因にもなります。

胃酸の働きをうながし、腸内細菌のバランスを正しく保つには、就眠の5時間前ぐらいに夕食をすませることです。