腸内細菌は、人間の体にとって必要不可欠な生命活動をつかさどる体内酵素を作り出し、体の健康維持や免疫作用を果しています。

この腸内細菌のバランスが崩れれば、さまざまな病気となるのは分かりきったことです。

これまでに多くの患者さんの胃腸を内視鏡で診察してきた専門医は、胃腸の状態と全身の健康は、密接な関わりがあることを知っています。itoshi3

しかも動物性たんぱく質、脂肪の摂りすぎは、いかに腸内環境を悪化させ、腸内細菌のバランスを崩して、有害菌を増殖させ、毒素を作り、血液を汚し、血液の流れを悪くすることで、多様な病気の発生原因となります。

腸内で有害菌が優位になれば、病原菌が住みつきやすくなり、感染症も引き起こしやすくなるのです。

そこで腸内環境の悪化にともなう、代表的な胃腸の病気についてみていくことにします。

潰瘍性大腸炎とクローン病は腸の粘膜の病気

炎症性腸疾患には、近年増加している潰瘍性大腸炎とクローン病があります。

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜の病気で、ふつう直腸から始まり上部の結腸の方へ粘膜が連続的に炎症を起こし、びらんや潰瘍を作る病気です。

典型的な例では、まず直腸に炎症が始まり、だんだん上方に向かって炎症が広がります。

やがて炎症は大腸全体におよぶものから、小腸の回腸末端までおよぶものもあります。

一方、クローン病は、消化管のどの部分にも起こる病気で、多くは小腸、大腸の粘膜に炎症が起こり、ときに炎症は腸壁全体から腸壁を貫いてまわりの臓器に達することもあります。

クローン病の内視鏡検査では、びらんや潰瘍や浮腫のほか、縦走した深い粘膜の潰瘍、炎症のある敷石状の粘膜がみられます。

潰瘍性大腸炎もクローン病も、良くなったり悪化したりを繰り返し、根治しにくい難病といわれています。

遺伝子的要因、精神的要因、細菌説、食物アレルギー説、免疫異常、血流異常などの関与が取りざたされ、病理的な原因は末解明です。

しかし多くの臨床データから、患者さんのほとんどは牛乳や乳製品をはじめ動物性たんぱくを摂りすぎており、これらの食歴が発病を招いていることははっきりとしています。

不適切な栄養指導で牛乳や乳製品を頻繁に摂るようになった若い人たちの発症が急増しているという事実もこのことを裏書きしています。

こうした事実から、まず、牛乳と乳製品をさっぱりやめることを推奨します。

そして、末精製の穀物、野菜、豆類、海草類など、食物繊維や微量栄養素が豊富な食生活への切り替え、腸内細菌のバランスを整える働きをもったサプリメントの摂取をレクチャーしています。

こうした食事療法を続けるだけで劇的な改善がみられます

潰瘍性大腸炎とクローン病の増加は、誤った牛乳信仰のもたらしたものといっても過言ではないと思います。

○大腸ガンは動物食の多食とともに増加している

この40年間、大腸ガンは増え続ける傾向にあるといえます。

その原因は、食生活の欧米化にともなって、動物食を多食することになったことがあげられます。

大腸ガンの多くは、まずポリープ状の腺腫が前ガン状態になり、それから粘膜内ガン、粘膜下ガン、浸潤ガンとなって、進行ガンになります。

では、なぜ大腸にポリープやガンができるかというと、それは胆汁酸から作られる発ガン物質の作用が原因のものと思われます。

動物食を多食していると、脂肪を吸収するために、胆汁酸が大量に出て大腸に流れます。

肝臓で作られた一次胆汁酸は体に害を与えることはありません。

しかし、動物性脂肪を摂りすぎると、腸内細菌のバランスが崩れることで、胆汁酸は有害な二次胆汁酸となります。

これが、発ガン物質になるのではないかとみられているのです。

動物食の多食は、便秘を引き起こす

便秘がちになると宿便がたまることで、発ガン物質となる毒素が腸内に停滞することになり、腸壁を刺激します。

また発ガン物質となる腸内の毒素とともに、多量の活性酸素も発生し、腸細胞の遺伝子を損傷して、細胞に変異を起こさせます。

こうしてポリープができ、それがガン細胞に推移していくのではないかと想定されています。

大腸ガンだけでなく、すべてのガンの予防には、免疫細胞を活性化させる乳酸菌などの有用菌を優位にしておくことが重要です。

良い腸内細菌を増やし、良い腸内環境を保つには、規則正しい食事と、規則正しい排泄が、何よりも大切なことです。