膵臓ガンは早斯に発見されることはめったになく、ほとんどは手遅れの状態で発見されます。

年間1万5000人ぐらいが膵臓ガンで亡くなっています。

膵臓ガンにはこれといった決定的な危険因子がありません。

つまり、膵臓ガンになりやすい体質かどうかは予測できないのです。

膵臓ガンにかかってしまったら、運が悪かったと思うしかありません。

ほとんどが末期状態で発見されます。

ですから、膵臓ガンが発見された場合の長期生存率はきわぬで低く、5~10パーセントぐらいです。suigangrafu

膵臓は左右に細長い臓器ですので、膵臓内のガンが発生する部位によって症状が異なります。

膵頭部という部位にガンが芽生えると、十二指腸や胆管を圧迫して、ある日突然「黄疸」という症状が出てきます。

胆管を通って排泄されるはずの胆汁が、胆管の閉塞のため排泄不可能となり、その成分であるビリルビンというものが体のなかにたまってしまい、体が黄色くなってくるのです。

また、膵頭部に芽生えたガンが十二指腸に浸潤すると、十二指腸を閉塞してしまったり、十二指腸内で出血を起こしたりします。

昭和天皇も膵臓ガン

古い話ですが、昭和天皇の御病状を思い出してみてください。

腸管内への出血が続き、輸血を繰り返す治療を行っていました。

考えてみると、多くの人たちが天皇の健康管理に十分に気をつかっていたにもかかわらず、膵臓ガンを早期に発見できなかったのですから、膵臓ガンのたちの悪さが想像できるでしょう。

膵体部や膵尾部という部位にガンが芽生えたときは、あまり症状はありません。

食欲がなくなったり、体重が減ってきたりしますが、これといった症状は末期になるまで出てこないでしょう。

膵臓に芽生えたガンは、あちらこちらに転移します。

しかし、結局はお腹のなか全体に広がり、腹水がたまってお腹が張ってくるのがほとんどです。

この状態をガン性腹膜炎といいます。

利尿剤を投与したり、お腹に針を剌して腹水を抜くことが多いのですが、この状態になれば、長くもっても1~2ヵ月ぐらいでしょう。

膵臓ガンを早期に発見するのは困難ですが、完全に治る見込みのある手術ができる程度の進行状態で発見したいのなら、超音波検査またはCT検査を定期的に行い、なおかつ腫瘍マーカーの定期採血を実施すればいいでしょう。

膵臓ガンの80パーセント以上で腫瘍マーカーは陽性になりますので、少しでも早く発見される確率は高まります。

末期医療の患者家族と治療の側面

ガンの末期では、もう助からないということは、医師であるならとっくにわかっています。

「これ以上の治療は無意味だ!医療費の無駄遣いだ!」などとマスコミに言われなくても、十分承知しているのです。045

しかし、患者の意識がなくなり、あとは死ぬのを待つだけの状態になっても、医師な起死回生のために治療に取り組むしかありません。

「先生!見てください!目を、目を覚まして何かしゃべろうとしているんです!」とナースステーションに駆け込む家族の姿を、医師たちは何度も見せつけられているのです。

臨終を前にして、何かを訴えようとする患者に家族は、ある種の「悟り」を覚えるようです。

「先生、ありがとうございました。あの一瞬のおかげで夫と私たちは永遠につながれたように思えます。」後日、そのような手紙を受け取った時の医師の気持ちは、当事者でなければわからないでしょう。

その一瞬のために、若い医師たちは寝食を忘れて末期治療にあたっているのです。

医療費について、批判するのは自由ですが、死に臨む世界に関しては、慎重になってもらいたいものです。