花粉症の初期療法とは、花粉症であることがわかっている人の例年の症状に合わせて、花粉が飛び始める1~2週間前からお薬の服用を開始する治療のことです。

その効果は、症状が出る時期を遅らせ、花粉シーズン中のつらい症状を軽くし、また、症状の終了を早めることができます。

花粉が飛び始める前に治療を始めるのが「初期療法」です

花粉症の「初期療法」は、日本で完成した治療法です。

どんな病気でも、症状が出てから、クスリでその症状をとるよりも、出る前に手が打てるなら、そのほうがいいに決まっています。

いったん炎症が起こると、それがおさまるまでには、いくらクスリがよくなったとはいえ、かなりの時間がかかるからです。

たとえば毎年、風邪をひく人がいます。

いつも扁桃腺が腫れてから抗生物質をのむので、すぐには熱もひかず、ラクになりません。

では抗生物質を前もってのんでおけば、どうでしょう。

たぶん、そんなにひどくはならないはずです。

しかし、この方法は、いつ風邪をひくかがわからないので現実的ではありません。

その点、花粉症はちがいます。syokiryoho

東京でいえば、スギ花粉の飛散は二月はじめから25曰くらいのあいだに始まって、ずれたとしても、せいぜい1週間くらいです。

そして、この花粉飛散日には、おおよそ7割の方が、クシュンクシュンしだしたり、目がかゆくなったりします。

つまり、先のたとえ話でいえば、いつ風邪をひくのかがわかっているのです。

しかも花粉症は、シーズンの最初から強い症状が出るわけではなく、くりかえし花粉を吸い込んだり浴びたりしているうちに、鼻や目などの粘膜の過敏性が強くなって炎症が激しくなり、どんどん症状が強くなっていきます。

幸い、観測網が充実して、花粉がいつから飛散するかという予測も、かなり正確につくようになってきましたから、飛ぶ前にクスリをのんでおけば、発症しにくくなり、症状も軽くてすむわけです。

そして日本では、スギ花粉症の患者さんがとくに多いし、その症状も重いので、なおさらスギ花粉症の予防的治療は有効なのです。

ということで、日本では、とくにスギ花粉症を対象に、前もってクスリをのみはじめる「初期療法」が始まりました。

「初期療法」は効果が高い

花粉症の治療で病院で渡されるクスリの目的は、

  1. アレルギーでふえる細胞の活性を抑える
  2. そのアレルギー細胞から出る化学伝達物質(花粉症の症状を起こしている原因物質)を制限する
  3. その化学伝達物質が神経や血管に作用するのを防ぐ

という三つです。

「初期療法」は、クスリを、花粉が飛び始める1週間ほど前からのみ始め、花粉シーズンが終わるまでのみつづけるという治療で、花粉シーズンに突入してからのみはじめるより、効果の高いことがわかっている方法です。

クスリとしては、「くしゃみ」や「鼻水」が主な症状の方には、「抗ヒスタミン薬」や「化学伝達物質遊離抑制薬」を、

「鼻づまり」がたまらないという方には「抗ロイコトリエン薬」や「抗プロスタグランジンDZ・トロンボキサンAZ薬」、鼻に噴霧する「鼻噴霧用ステロイド薬」、

そして症状が長引き、慢性化している方には「Th2サイトカイン阻害薬」や「鼻噴霧用ステロイド薬」などを使います。

また、目のかゆみや涙がひどかったり、目がごろごろするという方には、「化学伝達物質遊離抑制薬」や「抗ヒスタミン薬」の入った目薬が第一選択です。

この目薬の効果が不充分なときには「ステロイド点眼薬」も使いますが、このときは眼圧が上がらないようにチェックすることが必要になります。

初期療法に最適な新薬も出ました

好都合なことに、初期療法を始めようという機運が高まった時期に、「化学伝達物質遊離抑制薬」や「第二世代抗ヒスタミン薬」という新薬が登場しました。

こういったクスリは、効果が出るまでにI~2週間程度の時間が必要でしたから、その意味でも、症状が出る前からクスリをのんでおく「初期療法」に結びついたのは、ごく自然な流れでした。

そして、やってみたら、確かに効果があるのです。

症状がぼとんどなくなるか、あっても、ごく軽くてすみ、睡眠が妨げられたり、イライラが募ったりもしなくなります。

ですから、この「初期療法」が、いまの花粉症治療の基本です。