薬局で買える花粉症の市販薬は数多くあります。

医師の処方するクスリとの、ちがいや副作用などについて考えてみましょう。

市販薬は万人向きのおだやかなクスリで、鼻炎や花粉症薬には、抗ヒスタミン薬、化学伝達物質遊離抑制薬と血管収縮薬、抗コリン薬、抗炎症薬などが合わさっています。

中心は、なんといっても抗ヒスタミン薬ですが、その多くは第一世代のものですから、眠気や口が渇くという副作用が起こりやすく、また効いている時間も短いので、1日3回のむなど、服用回数が多いものになっているはずです。

また、血管収縮薬など、ほかの成分も入っている複合薬ですから、その分、有効成分も少なく、効果は低いでしょう。

ですから、市販のクスリだけでのりきれるならそれでもいいのですが、市販のクスリをいろいろのんでも効かないとか、2週間のんでも効果が出ない方は、病院へいって、ぜひ一度、医師の診察をうけてください。

あなたに合った、もっと切れ味のいいクスリを、手にすることができるでしょう。

血管収縮薬が入った鼻の噴霧薬には注意が必要!

花粉症の市販薬でもっとも注意していただきたいのは、血管収縮薬が入った鼻の噴霧薬です。

つらい鼻づまりがすっとするので、一日に何度も鼻に噴霧するようになりかねません。

そうなると、かなりの割合で依存性が生まれ、やめるとひどいリバウンド症状が起こるし、そのうち鼻の粘膜も厚くなって、薬剤性の肥厚性鼻炎になり、かえって鼻がつまるようになってしまいます。

リバウンドから脱け出すには、かなりの時間か必要ですし、肥厚性鼻炎がすすむと、手術しか治療の手段がなくなります。

その点、医師の処方するステロイドの鼻噴霧薬は、安全です。

《鼻噴霧薬の使い方》

①まず、鼻をよくかんでください
②つぎに、手をよく洗ってください
③頭をうつむきかげんにして片方の鼻をふさぎ、容器をよく振ってから、先端部分をもう片方の鼻に入れて、噴霧してください
④噴霧したら、鼻の中にクスリがよくいきわたるよう、しばらくそのままの姿勢でいてください。そのあと、もう一方の鼻に、おなじことをくりかえします

薬剤性の肥厚性鼻炎とは?

血管収縮性の鼻噴霧薬をスプレーすると、鼻の粘膜が収縮して、すっと空気が通ります。

風邪でも花粉症でも、その効果はすぐに、しかも明快に現われます。

ただ、その鼻噴霧薬を一日に何回もつかっていると、そのうち鼻腔の粘膜、とくにいちばん下にひだのように張り出している下鼻甲介といわれるところが変質して厚くなり、かえって鼻がつまるために、ますます鼻噴霧薬が手放せない状態になってしまいます。bikoukai-yoko

これを薬剤性肥厚性鼻炎といいますが、鼻づまりをよくするためのクスリが、鼻づまりを起こしているということが、患者さん本人になかなか理解されにくく、治療するにも手こずる頑固な病気です。

患者さんの数もかなり多いでしょう。

鼻噴霧薬が原因の薬剤性肥厚性鼻炎を治療するときの最初の目的は、血管収縮性鼻噴霧薬からの脱却です。

そして、副鼻腔炎などの合併がないかなどをよく診察し、治療は花粉症と同時並行で行ないます。

使うクスリも、花粉飛散がピークのときとおなじ、ステロイドの鼻噴霧薬と抗ヒスタミン薬、あるいは抗アレルギー薬の内服薬ですが、ときには、セレスタミンなどステロイドの内服もしなくてはなりません。

医師の慎重な指導が必要ですから、状態がよくなるまで、かなり頻繁に通院していただくことになります。

それでも状態がよくならなければ、レーザーなどの手術を考えますが、再発することもしばしばあります。

市販の鼻噴霧薬はもちろん、医師が処方するものでも、血管収縮性の鼻噴霧薬は、長くつづけて使わないようにしましょう。

血管収縮性点鼻薬の見分け方

成分のところに、

  • 塩酸トラマジン(薬品名トーク)
  • 硝酸ナフアソリン(薬品名プリビナ)
  • 硝酸テトラビドロソリン(薬品名ナーベル、ABC点鼻)
  • 塩酸オキシメタソリン(薬品名ナシビン)

などとあったら、この血管収縮性点鼻薬です。