花粉症を治す方法にはいろいろな方法があり、それぞれにどんどん進歩しています。

しかし、病院を変え、医師を変えても、花粉症が治りづらいと悩まれたり、あるいはちゃんと治したいと考えている人が多くいます。

しかし、「花粉症の症状は一人ひとりちがう」のです。kafunsyou3

花粉症はそう単純な病気ではありません

花粉症が複雑なのは、そのなかにたくさんの細かな相違が隠されているからです。

まず、花粉症に「なる・ならない」という、人による違いがあり、からだがスギ花粉というアレルゲンに感作されたあとも、どのようなかたちで症状が出るかという「反応性」の相違が、人ごとにあります。

アレルギー細胞(肥満細胞)にのっているlgE抗体の数(RAST検査でわかります)も、人によって違います。

そして、lgE抗体の数が多ければ、症状も強いかといえば、そうでもありません。

それぞれのアレルギー細胞が出す、ヒスタミン(花粉症の症状の原因になっている物質)などの量が違うからです。

おなじ量のヒスタミンが出ていても、人によって、反応するヒスタミン受容体の数が違うし、ヒスタミン受容体の感受性の強さが、また人によって違います。

そこで何かいいたいのかというと、見た目はおなじくらいの症状のひどさでも、そこにはヒスタミンの出る量が多い人と、ヒスタミン受容体が感じやすい人がいるから、当然、治療の仕方も違ってくる、ということです。

それだけではありません。

鼻のかたちも、鼻の病気の有無も、人によって違います。

ほかのアレルギーがあるかどうかも、人によります。

さらに、涙とか鼻水という体からの「分泌」は、個人差がものすごくある現象ですが、その原因には、鼻の中の粘膜がすごく敏感な方もいれば、粘膜を支配している神経性の反射が強い方もいる、これはアレルギーとは関係しませんが、出てくる症状は、よく似ています。

こういう患者さん一人ひとりの「相違」を、お話をお聞きしたり、症状をみていったり、また違う検査をしたりすることで、究明していくのが、花粉症を治す前提なのです。

そして、その結果をみながら、患者さん一人ひとりごとに違うオーダーメイドの治療をしていく、これが、あなたにぴったりの治療です。

鼻をかむ回数より、鼻汁の量が大切です

たとえば、花粉症の「くしゃみ・鼻水型」の基準になっているのが、鼻をかむ回数です。

しかし、花粉症を治すために知りたいのは、回数ではありません。

いったいどのくらいの量、鼻汁が出るかという鼻汁の量です。

これをつきとめないと、過敏性の検査にはなりません。

過去の治療の成績も、重要なデータです

その一方、毎日の臨床で、できるかぎり患者さん一人ひとりの花粉症の違いを、把握しなくてはなりません。

そこで役に立つのが、これまで試みた治療法がどんな成績だったかという、その患者さんの「反応性」です。

もう一つの鍵は、これまでの経緯です。

くしゃみや鼻づまりという症状がいつから始まって、そのあとどうなっているのか、その症状は一年中あるのか、くしゃみのほうがひどいのか、鼻がつまるのか、そういった症状は、たとえばクーラーが効いた部屋に入ると悪化するのか……。

ですから、かなりしつこく、かつ細かくお話をうかがうことになります。

そして、RASTや血清の総lgE検査の値なども参考にしながら、おおまかな治療の方向性を決めます。

たとえば、RASTの値が低いのに症状が重いという方は、神経過敏の傾向が強いのではないかと疑います。

そんな方には、副交感神経の遮断剤である鼻の噴霧薬(フルブロンなど)が処方できればいちばんいいのですが、原料の特定フロンが全面禁止されたために、今はありません。

そこで、抗ヒスタミン薬のなかから、同じような内服薬や鼻噴霧薬を選択し、それでも鼻水がとまらないなら、鼻汁の分泌を支配している後鼻神経を切る手術も考えます。

また、夜になっても鼻づまりが治らない患者さんには、ふつうなら禁忌とされている血管収縮薬の入った噴霧薬がいいのかもしれません。

あるいは、マスクをかけて眠ってもらうのがいいかもしれません。

一人ひとり治療法が違うというのは、そういうことです。

混在している鼻過敏症が、治療をさらに複雑にしています

花粉症の治療を複雑にしているのは、何度もいいますが、かなりの割合で、ほかの鼻の病気や、アレルギーではないけれど、鼻粘膜の過敏性を強めて、鼻水、くしゃみ、鼻づまりという三大症状を起こす、いわゆる鼻過敏症(過敏性非感染性の鼻炎)が混じりこんでいるからです。

鼻の症状は花粉症とまったく同じですが、アレルギー検査をしても、血液をしらべても、アレルギーだと考えられるものは、なにも出てきません。

その一つが「血管運動性鼻炎」です。

血管運動とは血管の拡張と収縮のことで、それを支配している自律神経の異常が原因と思われたことから、この名がつきました。

おなじような症例で、アレルギー検査は陰性で、鼻水中の好酸球だけがふえているのが「好酸球増多性鼻炎」です。

この名になじみはないかもしれませんが、実際にはけっこう多いものです。

さらに、鼻水が主な症状のものでは、たとえばカレーやラーメンなどの刺激性の熱い食べ物を食べたときに、なぜか鼻水がでる「味覚性鼻炎」や、寒い空気を吸い込むと鼻がむずむずする「冷気吸入性鼻炎」、老年になると鼻水が出やすくなる「老人性鼻炎」などがあります。

鼻づまりのほうでは、降圧剤や噴霧薬による「薬剤性鼻炎」、ストレスやうつ、神経症の症状として現われる「心因性鼻炎」、妊娠中期に起こる「妊娠性鼻炎」、甲状腺の機能が低下するのが原因の「内分泌性鼻炎」、手足が急に冷えると鼻がつまる「寒冷性鼻炎」、さらに冬、部屋を暖房して空気がカラカラになると出てくる「乾燥性鼻炎」など、さまざまなものが、鼻水を出させたり、鼻をつまらせたりしています。

なかなか治らないというあなたの場合も、たぶん、こういったものが複雑に組み合わさっていると思われます。

お風呂上りに風にあたるとくしゃみが出たり、ラーメンをたべると鼻がぐずぐずいったり、眠くなるとからだが痒くなったり、仕事のストレスなどという自律神経の変調からくる症状でも、アレルギー治療薬はそれなりに効いてくれます。

しかし、それはあくまでも「それなり」ですから、その結果にあなたが満足しなくても、無理はありません。